松原慶太

ラストナイト・イン・ソーホーの松原慶太のレビュー・感想・評価

3.7
ファッションデザイナーを目指してロンドンに出てきた地味な女の子(トーマシン・マッケンジー)が、ソーホーの屋根裏部屋に下宿することになり、夢のなかで「憧れの'60年代ロンドン」に迷い込んでしまう話。

ウディ・アレン「ミッドナイト・イン・パリ」を思わせる導入。

主人公は、歌手志望の女の子(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会い、めくるめく大人の世界に引きずり込まれていく。前半はめちゃくちゃ面白い。

タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のように「憧れの時代」を箱庭的に再現した、情報量の多い映画であり、当時のサウンドもあいまって、スウィンギング60'sの雰囲気を堪能できる。

ところがちょうど中盤から、アレレと思ったのだが、物語は中途半端なサイコホラーになり、ミステリーのような幕切れに。ここが賛否の分かれるところだろう。

これたぶん、あの時代にも暗い側面があったということを、当時のダサいホラー仕立てで表現しようとしたのだと思う。

また「Me too」というか、女子同士の連帯感みたいなテーマも含まれてるのだろう。ただ、やりたいこと多過ぎて、さばき切れなかったのかなー...という印象。
松原慶太

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