てる

ラストナイト・イン・ソーホーのてるのレビュー・感想・評価

3.3
面白かった。
思っていたよりちゃんと裏切ってくれてよかった。

ありがちと言えばありがちではある。世にも奇妙な物語でありそう。
住んでいる家の元住人の記憶を夢の中で追体験する。
高価な真っ白いレインコートを買ってしまったり、金髪にしてみたり、観客はハラハラする。明らかに行ってはいけない方向に思考が傾いているのがわかる。
幽霊が見えるってのはどうにも胡散臭い。それは現実でもそうだ。エロイーズは見えるわけだけど、それを知っているのは祖母だけ。端から見たら彼女は精神を病んだか薬をやってるヤバい人にしか見えない。
実際にそう見える。学校で上手く馴染めず、病んでしまった人にしか見えない。彼女を唯一気に掛けているジョンが可哀想でならない。

実際は統合失調症でも薬をやっていたわけでもなく、実際に幽霊の声が聞こえていたわけで、確かに見えていたわけだ。だけど、過去の記憶として見た映像が事実が異なっていた。それだけが引っ掛かる。幽霊を用いたミステリーってのはもはやミステリーとしては成立しないが、実際と異なる映像を見せるのは嘘つきすぎじゃない? だってあのときエロイーズしっかり見てたじゃん。やっぱり嘘でした、はミステリーとして反則だと思う。

でも、そのおかげで、最後にハラハラさせられたもんね。このままあっさり終わらないよなっていう別の意味でハラハラしていた。

本格的なホラーやサスペンス、ミステリーを期待しているとやや肩透かしを食うが、休みの日に観るには丁度いい作品だった。
てる

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