ふき

007/ユア・アイズ・オンリーのふきのレビュー・感想・評価

3.5
八〇年代に流行した、娯楽アクション超大作的な要素を孕んだ作品。
前作でロジャー・ムーア氏のボンドが傾倒していたコメディ路線が「スパイアクション要素のあるコメディ」まで振り切ったことで、本作はシリアス方向に舵が切られている。また、SFや特撮で大きくなるばかりだった作品の規模を、各国を旅しながら等身大のアクションを連発する展開にまとめており、ショーン・コネリー氏とロジャー・ムーア氏が培ったボンド映画の要素をいいとこ取りした作品と言える。

逆に本作は、シリーズのどこかで見たようなシークエンスの連続とも言える。スキー、ボブスレー、潜水、サメと、それぞれに新しいことを取り入れてはいるが、絵的に似通った部分も多く本作ならではの見所が挙げにくいため、シリーズを通して見ている人は相対的に評価が下がってしまうかもしれない。

また、アクションシーンに尺を割いたことで、コロンボとクリスタトスの関係やビビ周辺のお話が描き切れていなかったり、ラストのメテオラでのアクションでも大爆発がなかったりと、個々のアクションシーンはよくても全体的な満足度が低い印象だった。
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