西村大樹

ナイル殺人事件の西村大樹のレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
4.5
見事な娯楽映画。娯楽映画の鏡である。
予算がふんだんにあるから、このアイデアを映像化できたのであろう。
脚本が上手い。登場人物を紹介する部分が、自然に運ばれていっている。会話の中にどのような人物で、どのような人間かが分かるように組み込まれている。『シベリア超特急』とは大違いである(アレはアレで、別の意味で好きな映画ですが)。
登場人物全員が怪しげ、という推理サスペンスノ常套手段を、ワザとらしくなく自然と見せることで、観客たちもポワロとともに推理している気持ちになってくる。
ただひとつ、見せ場のクライマックスの謎解き部分が、少し飛ばしすぎな感じがした。もう少しじっくりと解説して欲しかった気がする。自分の頭が弱いだけかもしれないが、その怪しい人物たちの背景にあるものが、そこで見えてきて深みを見せた感じがするのだが。
西村大樹

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