翼

主戦場の翼のレビュー・感想・評価

主戦場(2018年製作の映画)
5.0
慰安婦問題。単語を知っていて取り巻くニュースにあれほど触れていながら、その本質に迫ろうとしなかった自分を恥じることがまずスタート地点。

慰安婦を巡る事件は事実なのか。
右派左派双方の主張は練り固められ攻撃性に満ちている。舌戦による代理戦争の様相がことを複雑かつ矮小化させている。マイクを向けられる者の主張にはどこか顕示欲を感じ、差別意識と発散のダシにこの問題がされている感。
本質から逸れ「20万人ということは一日6人相手にしないと云々…」とか「性奴隷って言うけどお金をもらって自由時間もあってそれって奴隷ですかww?」とか…当人たちの尊厳を他所にそんな要素でニヤニヤ語る。編集の意図なのか、本当に滲んでしまうのか、自己都合ばかり並べる奴に限って明らかに目がヤバい。右派と左派の主張の交互ディベート形式を取っているが、エビデンスが揃えば揃うほどその眼光の異様さが際立つ。揚げ足取りの舌戦で論破しようとする浅はかさこそが最も吐き気を催す邪悪だろうよ
だからこそ本作を締め括る、被害者の女性と加害者の男性の告白は、それまでの茶番を吹き飛ばす息を呑む迫真さに満ちている。

慰安婦問題が良いとか悪いとか語る以前に、そもそも日本人が概要を知らないということが問題だ。その背景には教育の検閲がある(!)。政府に不都合な記載の教科書の検閲て…第二次大戦下じゃなくて2020年代の安倍政権時代話だよね??慰安婦問題を皮切りに政教分離の理を侵す政権を刺す内容。コレ本当によく放映できたな!!
皮肉にも"実質一番ヤバイ奴"加瀬英明が言ってた「暗い歴史は映画とかで学べばいいでしょ」を引用させていただくが、この作品から大いに学ばせてもらった。自身の政治思想に間違いなく影響を与えた価値ある作品。
映画として制作・公開された意義を感じる、全日本人が見るべき作品。
翼