幽斎

ザ・ハロウィンの幽斎のレビュー・感想・評価

ザ・ハロウィン(2018年製作の映画)
2.4
敢えてネタバレしてます。
北米公開時のタイトルは「American Fright Fest」ハロウィンの催しで廃病院を舞台にした惨劇ですが、御年71歳John Carpenter監督のスラッシャーの金字塔「ハロウィン」続編2018年「HALLOWEEN」と何の関係も無く、”ブギーマン”マイケル・マイヤーズも出て来ない。

冒頭で「アルバトロス」と出てハッキリ偽物と分かる。この会社相変わらずジャケットは微妙にカッコ良いが明らかな詐欺商法。本家は重要文化財級の名作なのに、中国も真っ青の清々しいまでの便乗商法。問題なのはシャレで無く本気で偽装してる件。これは本家に対する冒涜で、更なる被害者を出さない為のネタバレ。但し結末には触れてません(大勢に影響なし)。

何が致命的と言えばホラーなのに全く怖くない。このジャンルは俗に言う切株、殺戮シーンを堪能したい訳だが、VFXが貧祖過ぎて肝心の残酷描写も少ない。これなら大学生のコンペ作品の方が遥かに面白い。本物の殺人と、恐怖の館のメタ構造を活かせるプロットなのに、モチーフに落差が無い為に両方陳腐に見えるのが最大の欠点。人物描写に奥行きが無いので、何人死んでも「それで?」と言う感想しか出て来ない。しかも腹立つ事に続編を作る前提で終わりを迎える、有る訳無いだろ(投げ遣り)。

「お化け屋敷と思ったら本物の殺人だった」と言うメタフィクションはホラーのお約束で、最近見た作品では2014年「ハロウィン・レポート」が有るが、本家とは無関係でC級と分った上で見る分には、貴方が優しい人で有ればギリ許せるレベル。私が5.0評価した「キャビン」は、このモチーフを極めて計算した脚本と秀逸な演出で描き、且つホラー愛に溢れた傑作。これだけ貶して置けば「あら、意外と面白いわよ」と奇特な方が現れる可能性は0では無い(んな訳無い)。

プロットは悪くないが駄作に変わり無し。心と時間に余裕の有る方のみお薦め(しません)。
幽斎

幽斎