映像の美しさとグロさが
交互に押し寄せる。
“命を捧げる”ことで
運命と輪廻に感謝する、という
カルト宗教の教義を象徴するような
慣習に心酔して暮らす
スウェーデンのとある部族の人々。
狂信的な幸福に満ちた笑顔と残虐さ
表裏一体の悲喜劇が
刻一刻と不気味さを高めていく。
良心と融和に心を許していくうちに
ずるずるとアリ地獄のように
引き込まれていく官能的恐怖。
人間誰しもが抱く
永遠の幸福を追い求めるエゴと
死への畏怖、その精神世界を
映像の「聖書」のごとく描き尽くす。
色鮮やかな花と緑、陽光。
清廉な風景と反目する歓喜、絶叫の
奇異なコントラスト。
ラストシーンでヒロインが見せる
恍惚の表情を真理と見るか
ただの道化と嘲笑するか。
自問自答にエネルギーを費す作品だ。
今夜、きっと…
現実と見まがう悪夢を見るだろう。