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死刑にいたる病のnori8のレビュー・感想・評価

死刑にいたる病(2022年製作の映画)
3.5
少年少女ばかりを狙った
24人連続殺人の犯人。
その“最後の1人”の事件に
秘められた闇をめぐり
“1人の若者”が翻弄される
心理サスペンスだ。

トラウマと自己解放…
一見、優しい世界への
復讐に燃える“知能犯”。

9件の事件で立件され
死刑を受け入れながらも
男の復讐は終わっていなかった。

自己肯定感が低く
コンプレックスの強い若者の
心に入り込み巧みに操る。
そして、“最後の1人”の
「冤罪」を自身に代わって
証明させようとする…

拘置所の面会室で
展開される息詰まる心理戦。
阿部サダヲの“目”に注目だ。
・冷静かつ淡々と話す
極めて理性的な“目”
・不気味に相手を見透かそうとする
達観した“目”
そして、時に現れるのが
・慈愛に満ちた“父親の目”

その狡猾な振るまいに
残虐な犯行を自認する
“死刑囚”であることを
つい忘れそうになり
ハッと我に返る。

そして、ラスト…
翻弄されていたのが
“1人の若者”でないと分かった時
戦慄と慟哭に突き動かされる。

見終わった後、
自らの“爪”をただじっと見た。
いつか自身の奥底に眠る
“狂気”と向き合わねばならない。

P.S.随所にグロテスクなシーンが
あります。苦手な方は
くれぐれもご注意ください。
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