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レイトナイト 私の素敵なボスのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

3.5
年齢を重ねるようになってくると、こういうお年を召しても素敵に変われる系のストーリーが沁みるようになりますね... いわゆる夜間帯の花形、レイト・ナイト・ショーのホストであるキャサリンですが、番組はマンネリ化し残念な感じに。イメージアップのため全く経験のないインド系の女性を脚本家として起用、無垢な彼女に振り回されながら成長するストーリーです。

ジェンダーについてかなり考えさせられる映画です。レイト・ナイト・ショーの女性ベテラン司会者という設定ですが、現実世界ではメジャー局のこれら番組は100%例外なく白人男性(ジミー・キンメル、ジミー・ファロン、セス・マイヤー、スティーブン・コルベール、ジェームズ・コーデン、コナン・オブライエン)で占められているのでこの設定にはかなり違和感があり、番組の場面を観たときに感じる我々観客側のこの強烈な違和感だけでいろいろ考え込んでしまいます。

前半で目立つ脚本チームの白人男性陣のイケてない感じ。これはキャサリンがいい人を首にしてダメな人を雇い続けた積み重ねの結果なので、彼らはいかにも本来キャサリンがしそう・言いそうなことを体現しているダメなキャサリンの生き写し・鏡になっています。こういう婉曲的な描き方は結局女性役は汚名に堪えられない弱い存在だろうということで、失礼な話とも言える?まあとにかく、でたらめで雇ったモリーの何の偏見もない真っ直ぐな姿勢に癒されながら、キャサリンとチームが変わっていく様子が爽快!

レイト・ナイト・ショーの舞台裏を覗けるのは楽しい。全く同じフォーマットで番組を進める前述した現実の司会者たちにも、それぞれ政治色の強い人・弱い人、家族などプライベートを前面に出す人・一切出さない人、自虐あり・なしなどいろいろなタイプがいて、やはりそれぞれに哲学があるんでしょうねぇ。つい先日、ジェームズ・コーデンの引退が発表されましたが、現実世界で女性司会者が起用されるのはさていつになるのでしょうか?
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