アルモドバルは大好きな監督なので先入観アリアリで観てしまった。
自身を投影したと言われる初老の映画監督サルバドールは、長年の身体的痛みと過去の拭いきれない精神的痛みに苦しんでいた。
しこりを残したまま別れた友、恋人、そして母との思い出、そこにはいつもの様に色々な形の愛があった。
貧しかったから神学校に行かされ、そこから「バッドエデュケーション」に繋がるのかぁとひとり納得。
大切に思うからこそ母には言えなかった真実。その最愛の母の最後の望みを叶えてやれなかった後悔。
アルモドバル監督も今年で72歳、誰でも晩年には自分の歩んで来た道を思うのでしょう。
訪ねて来た誰もが褒めるサルバドールの住まいは、芸術的な色彩とセンスの良い調度品でまとめ上げられていて、それは貧しい時でも常に家を美しく保ってきた母への感謝と敬意にも見てとれる。
幼い主人公が文字を教えた青年の描いたスケッチの後日談がとても素敵だった。
恋人のと再会シーン、2人ともオシャレでしたね。
そしてちびサルバと母ペネロペのラストシーンで肩の力がグッと抜けて微笑みに変わる。
沢山の満足の詰まった作品でした。
作中で目が釘付けになった美しいコーヒーカップは、何とHERMESのブルーダイユールシリーズとのこと。
HERMESはいつから食器にも進出したのか調べたら、1984年というので30年以上も前からだったのね!とそんな事も驚きでした。