息が詰まってしかたがなかった。この作品は「女性」をいろんな角度から描いています。女性にのしかかるプレッシャーやいわれなき暴言、社会的地位、家族としての役割等々。見るも無残に徹底的に孤立させられていく様は、ホントに辛かったです。自分は女性ではないのでこういう経験はハッキリ言ってしたことない。ただ家族という視点で言わせてもらえば、家族ほど遠慮なく人の心を傷つける人達はいないです。当の本人は良かれと思ってと言いますが、結局誰もジヨンの事を真剣に考えては言ってないですから。ダンナの母親なんて自分の息子の事しか考えてないし、ダンナだって自分の家族が機能しなくなるからジヨンを心配しているだけであって。ジヨンの兄弟だってとても親身になって考えているとは思えないし。ましてジヨンの父親なんて言わずもがなです。唯一ジヨンの母親を例外にしたところで作品に救いを作った感じ。とは言っても結局ジヨン一人で治療するだけで、それだけで希望なんて言語道断、ちゃんちゃらオカシイ。治療を終えてもジヨンの周囲では、ほとんど何も変わることがないでしょうね。あ～良かったねで終わる。そのうちまた家族から「次の子供は？」なんて平気で言われるし、正月にはダンナの実家に帰省する訳だし、弟はジヨンの好きなパンはクリームパンって事は忘れるだろう。何故か？彼等は自分のしている事が、どこがどう間違っているのか、ジヨンにとってそれがどれだけ傷つくかを理解していないからだ。ジヨンの愛想笑いの裏にある本当の気持ちを探り当てることが出来ないからだ。今作に関してはジヨンにも非があるとは言わない。絶対に言わない。それを言ったら作品に意味がなくなってしまうから。家族と言うだけで無礼講並みに何でも許されてしまう傾向がある。「家族だから」が免罪符になってイイ訳がない。家族の誰かがドン底に落ちた時、その家族の本当の真価が問われる。
