鷺宮テラス

いなくなれ、群青の鷺宮テラスのレビュー・感想・評価

いなくなれ、群青(2019年製作の映画)
3.6
この世界には二つ揃って初めて意味を成すものがたくさんあるように、たとえば僕と君は一足の靴だったらよかった。そうであれば物事はもっと単純だった。

僕には絵本の記憶が一冊しかない。百万回生きた猫の話もしらない。その僕にとってだいじなだいじな一冊を読んでくれるだろうか、そして泣いてくれるだろうか。

茅ヶ崎のサイクリングロードの香り、馬堀海岸の群青、富士の空気の紙の匂い、オークラから見下ろすポートタワー。僕の景色を思い出しながら君の横顔を見つめる。そのまっすぐな瞳を。

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原作は一人称で進んで本筋とは無縁なところに叙述トリックを含んだりしていて不思議な透明感があって登場人物の表情は仮面のような無表情に溢れていて映画ではどうなるのか興味はあって。本作の冒頭から原作との違いを明確にされて頭真っ白にされた。まるで猫騙しをくらったようだったけれど小説と線引きされたのは良かった。


流星くん目当ての鑑賞だったけれど、矢作穂香さんが原作以上の雰囲気を出されていてすっごくよかった。そしてそして音楽がまあ素晴らしくておどろき。神前暁(こうさきサトル)さんというお方。知れて良かった。


作中がどういう世界なのかわかりづらく(それはそれでよいのだけれど)序盤のルール(制約)提示が超特急でわかりづらかったことと原作で良かった台詞を強引に使っている印象で映画の中の独特の世界観との差を感じた。あと一歩で傑作となり得た。

台詞が聞き取りやすくてサイコーでした。
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