あんがすざろっく

劇場版 ファイナルファンタジーXIV 光のお父さんのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

4.3
2001年のフルCG「ファイナルファンタジー」を劇場で鑑賞しました。

別にファイナルファンタジー(FF)に愛着があった訳ではないし、ゲームという遊び自体に全く縁のなかった僕が、何でこれを観たかったのか。
はっきりした理由は、僕もよく覚えてません(笑)。
多分、フェイ・ウォンが歌っていた主題歌が好きだったこと、フルCGのアニメがどんな映像になっているか、それが観たかったんだと思います。

しかし、何分愛着がなく、ストーリーもキャラクターも全く知らない状態だったので、お話も何もまるで覚えてませんでした。
始終映像がチカチカ、目も体も疲れて、僕にフルCGは合わないんだと痛感。
ゲームファンの皆さんが作品をどう捉えたかは、分からないですが…。

そんな僕が、20年ぶりぐらいに再びFFに挑戦。
決して20年の間にFFをプレイし始めたからとか、そういう訳ではなくて、フォロワーさんの評判も良かったし、口コミで人気も広がっていたので。
俳優さんも出演しているし、ここでどうFFと絡んでくるんだろう、という興味もありました。
一抹の不安と言えば、FFのことをよく知らないでも楽しめるのか、ということ。



主人公のアキオは広告代理店に勤務している。
会社ではあまり目立たず、仕事においても自分の個性を押し出せない。
家にいる時間は自室で「ファイナルファンタジーXIV」にハマっている。

そんなアキオの父、暁がいきなり会社を退職して、単身赴任先から帰ってくる。

アキオには、父との思い出が少ない。
仕事一筋だった父とは会話もほとんど交わさず、
アキオにとっては父の全てが謎だった。

唯一の思い出と言えば、幼い頃に少しだけ一緒に遊んだことがある「ファイナルファンタジー」。

父との会話のきっかけを作りたいアキオは、「ファイナルファンタジーXIV」のオンラインに父を誘い、正体を隠したまま仲良くなろうと考える。
父と一緒に、冒険の旅に出るのだ。
周りの仲間達にも協力してもらい、「光のお父さん」計画が動き出す。
そこでアキオは、まだ見たことのない父の姿を知ることになる。


FFの世界だけを映像化していたら、ここまで楽しめなかったでしょう。
FFの映像世界と、現実の世界。
この両極を行き来してストーリーが進む訳ですが、若干展開がありがちな面もあります。

ですが、僕は素直に感動しました。
何だか最近、変に入り組んだ話より、余計なことを考えずに泣ける作品が見たくなっています。
ちょっと前までは斜に構えて見てた作風だけど、今はドラ泣きできるような作品が見たい(笑)。
STAND BY MEも観に行こうかなぁ…。
王道とはいえ、よく考えると斬新な映画だとも思いました。

もともと実話ベースのブログ記事が話題になったんですね。
「電車男」を思い出しました。
ドラマ版もあったそうで、そちらはお父さんを演じたのが大杉蓮さん。
本作も最初は大杉さんの再登板を予定していたようですが、撮影スタート前に急逝されてしまいます。
これは、大杉さんのお父さんも見たかった…。



アキオ役の坂口健太郎さんは、僕は多分初めて知りました。
いい感じの引き具合。お父さんとの距離の取り方も、まどろっこしく感じるんですが、この一歩踏み込めない感じが、アキオのキャラクターを上手く表せてます。

そのお父さん、暁に扮するのは、吉田剛太郎さん。
やっぱりというか、もう見事としか言いようがない。
あの仏頂面が、だんだんFFの世界にのめり込むことで、活気を取り戻していきます。
その過程が、吉田さんの演技力の醍醐味。
初めはコントローラーの使い方が分からなかったり、笑っちゃうようなアクションを見せるんだけど、徐々にコツを掴み、パーティになくてはならない存在に。
恐らく、それまで仕事でしか味わったことのない充実感と達成感が、画面から溢れ出してくるのです。
チームで何かを成し遂げること。
オンラインゲームの楽しみ方は、それなのかも知れませんね(僕はやったことがないんだけど…)。
暁が退職した理由が終盤判明しますが、普段ならあざといなぁと思える演出も、この作品では素直に受け止められました。

アキオのお母さんに、財前直見さん。
物事をなんでもプラス方向に考えるところは、お父さんとしっくりくる組み合わせ。
テレビを占領するお父さんに怒りを爆発させるシーンが最高です。
子供のケンカか(笑)。

アキオの妹、美樹に、山本舞香さん。
兄が大人しいと、妹は確実にこうなりますね。
とにかく、このアキオの家族風景の安定感。
これが素晴らしかったんです。

アキオの会社での先輩、吉井に佐藤隆太さん。
いい味出してます。
こういうムードメーカーは、会社に一人は必要です。

アキオに想いを寄せる会社の同僚、井出に佐久間由衣さん(志尊淳君に似てませんか⁉︎)。
アキオに近づきたくて、FFを手に取り、プレイし始めると、自分もどんどんハマっていきます。
そして、オンライン上でアキオとフレンドに。
FFの中で、アキオと一緒に広大な景色を眺めているうちに、気付きます。
「これって、ある意味デートかも」。
あ〜なるほど、そんな気持ちになりますな‼️
巧いなぁ。

FFの中でアキオとパーティを組むのが、「ある」ちゃんと「きりん」ちゃん。
この二人が、現実世界でもアキオに絡んでくるのかと思ったけど、それをやったら、話が広がり過ぎちゃうのかな。
ちょっとそんな展開も見たかったけどな。



小さい頃、アキオはお父さんにFFを買ってもらい、僅かながら一緒にプレイした思い出が残っています。
ラスボスを一緒に倒そう、と約束しながらも、お父さんはどんどん仕事に忙殺されていき、約束は果たせないまま、そこから二人の間には距離が生まれます。結局アキオは一人でゲームをクリア。
でも多分、お父さんと一緒にクリアしたかったんでしょうね。
これが作品終盤の伏線になっており、ちょっと切なくなります。

美樹が初めて彼氏を家に連れてくるシーンがありますが、この時のお父さんが大人げない(笑)。
初対面からそれはないよ…。とか思ってしまいました。
結婚の話をしに来た訳ではないのに。最終的にそんな話も出ましたけど。
これがお父さんの不器用さというか、頭の固さだったんでしょうけどね。

自分の時のことを思い出して、まだ僕はいい方だったんだな、としみじみ。
僕の場合は奥さんのお義父さんが好感を持ってくれていたようなので…。
結婚の話をした時はさすがに緊張しましたけどね😅
将来自分の娘が彼氏を連れて来ても、こんな対応は絶対しないぞ‼︎と心では思ったものの、いざその場になったら、自分も狼狽えるかもなぁ。
あ〜そんな時来て欲しくないなぁ…



FFの世界に、自分の居場所を見つけたお父さん。
仲間達と強敵、ツインタニアに立ち向かう約束を交わします。
この時まだアキオは、自分の正体をお父さんには隠していましたが、ツインタニアを一緒に倒したら全てを打ち明けるつもりでした。
攻略の為にシュミレーションを繰り返すお父さんは、不安に駆られてしまい、息子のアキオに声をかけます。
「ツインタニアを倒すには、どうしたらいい?」

二人で肩を並べてFFをプレイする姿が、何だか泣けてきます。


迎えるラスト。
映画的演出とか、オチは関係無しに、こうあって欲しい、と強く願っている自分がいました。
分かってても泣けてくる。
このぐらいストレートな作品も、時にはいいと思います。



僕の親父との思い出と言ったら。
僕はまるでスポーツをしなかったので、サッカーもキャッチボールもやった記憶が…。

あっ、あった‼️
一度だけ、家の近所でキャッチボールをした‼️

ボールが上手く取れなくて、僕はすぐ嫌になって止めちゃったんだ。

今思うと、親父も息子とキャッチボールしたかったんだろうなぁと振り返ると、何だか親父に申し訳なくなりました。

ただ、親父は音楽の仕事をしてたから、音楽の話は出来たし、家にはアップライトピアノがあったので、親父が休みの日は、家族で歌ってました。
大人になってからは、カラオケにも頻繁に行ってましたね。

まだ両親とも健在ではあるので、親孝行していきたいと思ってます。
車で1時間ぐらいのところに住んでるんだけど、県は跨ぐし、コロナ禍でなかなか会いにいけませんけどね。

今は世代的に、お父さんもお母さんもゲームで遊んでいた経験があるでしょうから、子供と一緒にゲームをするのも日常の風景なのかも知れません。
それがコミュニケーションのツールになるなら、ゲームも悪くないのかな、と最近思うようになりました。
現にうちの息子は内向的な性格なもので、今まで学校の友達もいるんだかいないんだか、一人で過ごす方が楽だったようです。
学校であった話もほとんどしなかったんですよね。
それが、去年のクリスマスにサンタさんからSwitchをプレゼントされてから、もう夢中になりまして。
色んなソフトの攻略本を読み漁って、自分で工夫してプレイしているようです。
学校でも、ゲームの話をするようになったみたいで、「○○君が新しいゲームを買ったらしい」とか、「〜〜の攻略法を教えてもらった」とか、以前に比べてよく喋るようになったし、少し明るくなった気がします。
うん、ゲームも悪くないのかも。

本作を見てから、自分もちょっとゲームを通して息子や娘と話してみようと、FFじゃないけど、あつ森の遊び方を教えてもらってます。

僕「魚って、これどうやって釣るの?」
息子「しょぼい釣り竿をDIYで作るんだよ」
僕「えっ、どうやって作るのよ?」
娘「やってあげるから貸して」
    
僕「家にギターとかドラムとか置きたいよ〜。
ちょっとやってみてよ〜」
娘「はいはい、貸して」

僕「わっ、家にゴキブリ出たんだけどど〜すんの
これ⁉️」
息子「全然家に行ってないからだよ‼️」
僕「分かったけどど〜すんのこれ、なんとかして
よ‼️」
娘「やってあげるから貸して(ゲシゲシッ‼️)
僕「(うわっ、踏み潰したよ…😨)」

と、完全に息子と娘任せで楽させて貰ってます。
スーパーマリオカートもアイテムの投げ方分かんないし、キノピオ隊長もキャラクターがどこ向いてるか分かんないし、全部子供にやって貰ってます。
僕にはゲームはあんまり向かないみたい(笑)。
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