てっぺい

TENET テネットのてっぺいのレビュー・感想・評価

TENET テネット(2020年製作の映画)
4.0
【挟み撃ち映画】
大破した車が元に戻り、弾丸が銃口に戻る不思議な“逆行”アクション、そして本物のジェット機が突っ込むど迫力の映像美。伏線回収で過去と未来が繋がる脚本力。劇中で何度も出る言葉の通り、そんな二つの大きな柱で見る側を挟み撃ちにする本格映画。
◆概要
脚本・監督:「インターステラー」クリストファー・ノーラン
出演:「ブラック・クランズマン」ジョン・デビッド・ワシントン(デンゼル・ワシントンの息子)、「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」ロバート・パティンソン、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」エリザベス・デビッキ、「ダンケルク」ケネス・ブラナー、「インセプション」マイケル・ケイン
音楽:「ブラックパンサー」ルドウィグ・ゴランソン(同作でアカデミー賞受賞)
◆ストーリー
「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。
◆見どころ
見たこともない“逆行”アクション。CGを使わない本物のど迫力映像。映画館の椅子が揺れるほどの爆音の音響。そして何より時間の逆行が時間進行と伏線回収的に交わっていく脚本の妙。難解なストーリーだからこそ、何回も見たくなる。
◆逆行アクション
大破状態から逆走に戻る車。単純な映像の巻き戻しならまだしも、それが順走する車と並走しているのだから、映像の作り込みの徹底ぶりが伝わってくる。ガラスの穴が塞ぎ、銃に戻る弾丸や、爆破された壁に逆行で吸い込まれる兵士しかり、逆向きに飛ぶ鳥まで、この映画でしか見れない“逆行美”が存分に目に飛び込んでくる。
◆ど迫力映像
なんと言っても、ジェット機がビルに突っ込むシーン。色んな角度でカメラが設置されており(特に運転席からの映像が凄かった)、電灯や車をなぎ倒しながらビルに向かうところから、とにかく鳥肌。さらには戦場でビルを爆破するシーンも、逆行と相まって、破壊されたり元に戻ったりを繰り返すビルが「インセプション」を彷彿とさせるど迫力。製作費2億ドルという本作は、実写撮影にこだわるノーラン監督の本気度が各所に伺えた。
◆音響
映画館の椅子が揺れるほどの爆音だったのは、今回の鑑賞がドルビーシネマだったせいもあるかもしれないけど、映像の迫力が何倍にも増していたと思う。ジェット機のシーン(だったと思うけど)には、まるで音が旋回するようなブワンブワンというBGMで不穏な空気が助長されていて、前述の「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したという音楽家の流石のなせる技。

◆以下ネタバレ

◆脚本
そのジェット機からの格納庫での逆行格闘シーン。突然現れるふたりの暗殺者。まさかこれが二人とも“名もなき者”だとは…後半、忘れた頃に話が繋がり伏線回収的な脳のアハ体験をしつつ、時間軸を操作してその二人がどちらも“名もなき者”なんて、このノーランさんにしか書けないシナリオだと思う。さらには“挟み撃ち作戦”での、1番の黒幕がこの“名もなき者”その人だとは、まあ天才な脚本。正直、前評判通りの難解さで物語自体は半分も理解できてない気がするけど、劇中にも「考えずに感じろ」とあったように、そんな脚本力の威力を感じるだけでも十分見た甲斐があったと思う。
◆トリビア
○ ノーラン監督は、TENETの背後の着想を20年間に渡って温め、「私はこの脚本の練り直しに6, 7年は掛けている」と発言している。(https://ja.m.wikipedia.org/wiki/TENET_テネット)
○ 本作は、ノーラン史上初めて有色人種を主人公に据えた作品。(https://theriver.jp/tenet-guide/)
○ 『インターステラー』で理論物理学者のキップ・ソーンを製作総指揮に招いたノーランは、本作でも再びソーンの助けを得ており、科学的に正確な脚本を目指した。(https://theriver.jp/tenet-guide/)

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