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空の青さを知る人よのakihiko810のレビュー・感想・評価

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)
3.7
監督・長井龍雪×脚本・岡田麿里タッグ。「超平和バスターズ」秩父3部作の3作目。

高校生のあおいと、姉のあかね。そして高校卒業後、東京に出て行ったきり音信不通になっていた慎之介が、ついに帰ってくる…。あおいの前に現れたのは、13年前の姿をした慎之介の生霊・しんのだった。
姉の人生を考え田舎を出ようと決意する女子高生、自分のことは後回しで母親のように妹に接する姉、夢を抱き上京し自分の生き方に葛藤するミュージシャン、そして過去の未練を捨てきれず閉ざされた空間に取り残されたもう1人の自分。
彼らの思いが交錯する青春ストーリー。

自分の未来に不安を抱く女子高生、かつて夢見た自分の未来となんとか折り合いをつけて生きるバックバンドミュージシャンと、二人の思いを軸に物語を組み立てたのは良かったと思う。
しかし「人生こんなはずじゃなかった/こんなもんじゃない」感は大人なら誰しも抱えているはずで、それでもなんとかある「平凡な幸せ」を噛みしめて、折り合いをつけてくのが大人ってもんじゃなかろーか、などと思ってしまう私は、慎之介の挫折感というのがよくわからんかった。いや、わかるけど…さぁ。まがりなりにも一応音楽で食ってけてるじゃん、とも思うのだが、本人からしてみたら「一応でやってる分だけ、夢が眩しい」のだろうか。

それと、空を飛ぶシーンはここ最近のアニメのはやりなのか「とにかく入れとけ」感があった。「天気の子」を見た後だと、重力や空気抵抗描写がぬるく、迫力が今一つなのが残念。

「あの花」「ここ叫」に比べたらエモーショナル度は落ちるが、とはいえ十分楽しめる作品だと思う。
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