もやし

ひとよのもやしのレビュー・感想・評価

ひとよ(2019年製作の映画)
4.8
テーマが明らかに重いので避けてたけどついに鑑賞。なんかすげえ映画だったなー

ヒューマンドラマなのにかなりエンタメしてた。エンタメなのにヒューマンドラマしてた。


DV夫を殺して子供達に15年後に会いに来ると言って自首した母。15年後に本当に戻ってきた。
だがこの15年間で子供達は数え切れないほどの誹謗中傷に遭っていた。



母親のことをただただ恨んでいるのでもない、でもただただ感謝しているのでもない、この微妙なバランスは予告編では伝わらないですね。予告編だと完全に恨んでる感じだったから。
この微妙な天秤のようなバランスが本作の肝になっている。


脚本がなんかとても胸にズバッと刺さる感じがある。
是枝監督や河瀬直美監督みたいな美しい感じと少し違う。謎の爽快感がある台詞回し。娯楽性にも繋がっている。
脚本家さんの過去作見て納得。


健君演じる小説家志望のエロ雑誌記者の息子のキャラが最高だった。斜めから冷静に物事を推察するタイプ。冷め切った、しかしメラメラと燃えるものも同時に抱えている。
エロ記事なのに難しい言葉回し多用して上司から叱られるのちょっとわろてまた。

他の子供の鈴木良平も松岡茉優も、一見無個性だけど後半に行くにつれどんどん深みが増してくる。

ほんと子供に限らず本作は時間の経過と共にどんどん心情が深掘りされていって、本当にハッとする瞬間が何度もあった。
特に母親の奥底の心情が露にされたときは本当に思わず唸りそうになった。(こういう表現は好きではないが)


しかしまああまり自分に置き換えて共感するタイプの作品じゃないなー
そして見終わった頃にはとてつもなく疲れてる…笑
白石和彌監督の作品はいつもこうだ…笑
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