母親が家族を守るために犯罪者になり、その子供たちが大人になった頃母親が出所し家に帰ってきて...という話。
各々の闇が深く、誰の目線で見ればいいのか悩んだが、とても重く突き刺さった。田中裕子がとにかく怪演かつ好演、圧倒的だった。
以下ネタバレ感想を。
話としてはかなり序盤から母親による殺人事件と出所して帰宅になり、「この先どーなるの?」という感じ。
各社員のエピソードも終わってみれば伏線になっているし、佐々木蔵之介の流れは意外だった。
この映画は物語そのものよりも、
切っても切れない家族
犯罪者という過去
犯罪者の家族
親から子への愛
子供の反発
など他人や親子の様々な関係が幾重にも重なっていて、どこの目線で見るかがとても多く張り巡らしされていたことがすごい。
殺人を犯したことをまるでギャグのように言っていたが、他人から見たときに犯罪者と関わりを持つことへの不安感が克明に描かれていた(映画の友罪、羊の木、ドラマのプラージュなどと同じテーマ)。
ちょっとしたやり取りから家族というのは阿吽の呼吸で通じる何かがあるものがうまく表現されており(三兄弟はかなりはまっており空気感がとてもよかった)、それが故に同じことを察したときの空気の緊張感は半端ではない。
物語は終盤になるにつれて正に「疑似家族」の緊張の糸が切れていくのだが、特に鈴木亮平がMEGUMIを叩いた瞬間は見ていた人も背筋が伸びる思いだったのでは。
演者がとてもよかったのだが、特に佐藤健と田中裕子。佐藤健は「半分、青い」の律がはまっていたが今回も同じく寂しそうな影のある役でかなりよかった。
田中裕子はTHE昭和の母さん的なところからMOTHERなど坂元裕二脚本のある過去を背負った母親役(やはりかなりハマっている)、男前にキリッと物事を言い進める所と様々な表情があり目が離せない。
あと女性のドライバーだった人が良かった。
大悟は笑った。