まーしー

9人の翻訳家 囚われたベストセラーのまーしーのレビュー・感想・評価

3.0
久しぶりのフランス映画。フォロワーさんのレビューを読んで気になり鑑賞。
人気小説の完結編を出版するにあたり、情報漏洩を防ぐため、各言語の9人の翻訳家が秘密の地下室に隔離され、その環境下で翻訳作業を行っていく——。

冒頭から張り巡らされた伏線の数々。二度目の鑑賞で、それぞれの場面の意味することに気づかされる。
ただ、初鑑賞の際には頭に疑問符が付く場面も。
というのも、時系列がバラバラで物語が進行するからだ。9人の翻訳家たちが集められ翻訳作業をする時間を「現在」としつつも、「その前」と「その後」も同時進行で描かれている。
特に、出版社のオーナーが個室で話しているのはいつか、その話し相手は誰かが不明なまま映画の序盤は過ぎていく。
しかし、ラストまで観て振り返った時に、その解が明らかとなる。その時の爽快感は素晴らしい。まるでパズルのピースがはまったかのよう。

9人の翻訳家のうち、目立っていたのは一部の人のみ。全員のキャラが立っているわけではなかったのが本作の惜しいところ。
ただ、ロシア語の翻訳家を演じたオルガ・キュリレンコは特に印象に残った。ゴージャス&ミステリアスな雰囲気が漂い、9人の翻訳家の中でも目立っていたように思う。

ご都合主義の展開もあり、やや非現実的な内容かも知れない。
しかし、ダン・ブラウンの『インフェルノ』の翻訳は近しい環境下で行われたというから驚く。私が知らないだけで、案外、現実的なストーリーだったのかも!?