竜平

サスペリア PART2 完全版の竜平のレビュー・感想・評価

サスペリア PART2 完全版(1975年製作の映画)
3.7
とある学会で女性がテレパシーについて講演する中に漂う不穏な空気、やがて起きる殺人事件。それを偶然目撃してしまうピアニストの男が犯人や真相を追って奔走する、という話。ダリオ・アルジェントによるサスペンス映画。

日本公開版でカットされたシーンが追加されてるという「完全版」を今回鑑賞。ちなみに邦題で「PART2」となってるけど続編というわけでは全くなく、これは『サスペリア』が1977年に制作・日本公開された後、1978年に今作(1975年制作)が日本公開され、その際に同じアルジェント作品であるという関連付けか話題作りか、日本の配給会社がストーリーの繋がりも何もないのにこの邦題にした、という。ややこしいーー。てなわけで予習などは全くもって必要ないんだけど、個人的には先に『サスペリア』を見たことでこの監督・脚本作品の「節」を少しばかり感じつつ楽しめたのと、あといい具合にストーリーにも意表をつかれた、というところ。だからその順番で見ると楽しめるかもねー的な。

もとはイギリスに住んでたという芸術気質のピアニストがいつの間にか事件にのめり込み、自ら事件解明に乗り出すという内容。序盤の展開もありーのでホラーなのかミステリーなのか、はたまたオカルトなのか、様々なジャンルの雰囲気が漂いつつ、どの方向へ転ぶのかワクワクしながら見れる。とにかくじっくりじっくりと真相に近づいていくわけだけども、全編に渡る謎を追い求めるパート、その終盤までの焦らしを焦らしとして楽しめるかどうか、かも。しかし終盤でしっかり「してやられる」流れになってたりして、これは本当に見事。伏線とかとはちょっと違うタイプの納得の構造というか。殺人描写が古風でありながらもやけに生々しくて、やっぱり鮮烈。多彩な音楽、印象的なカットも良き。所謂「ジャッロ映画」というジャンル、もっと見てみたくなった次第。
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