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パラサイト 半地下の家族のmueponのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.3
今多くのWebサイトやSNSで話題になっている『パラサイト 半地下の家族』(原題:기생충/Parasite)をようやく観ることが出来ました。

とにかく一度観た方がいいという周りの熱量に推されて、核心的な情報は全く得ないままの観賞でしたが・・・なるほど、これは思わず唸るような素晴らしい作品でした。

第72回カンヌ国際映画祭で韓国映画初となるパルム・ドールを受賞したり、第92回アカデミー賞で作品賞・監督賞など6部門にノミネートされたというのも頷けます。

とにかく社会的で重苦しいストーリーながらも、ユーモアがあって何から何まで計算尽くされたエンターテイメントな作品。

格差社会を風刺的に描きながら、前半の富裕層に寄生していく半地下の貧困家族の手口はお見事という他ありません。

しかし予定調和な物語は前半まで・・・。

ここまでは何となくあらすじを見て予想範囲内だったものの、場面転換が起こる後半からはまさにスリラー、サスペンス、ホラーな様相を呈し、怒濤の展開が待ち受けます。

最終的な着地点はどこに行くのだろうとハラハラドキドキの後半でしたが、さすがにあの結末は予想出来ませんでした。

格差社会を高低差で表現し(地上及び高台、半地下、地下)、階段の上り下りや豪雨による被害がリアルさをより一層引き立たせます。

地下に住む貧困家族と地上に住む富裕層のコントラストは、美しくも哀しい対比と共にただただ残酷な現実を突きつけてきます。

印象的なのは、普段の生活に染み着いた「におい」だったということ。どんなに着飾っても、背伸びしても、長年の生活から来る貧乏臭からはなかなか抜け出せない。

無意識な振る舞いの一瞬に違和感を感じた時、少しずつ貧困家族の完全なる計画が狂い始める。

生まれながら優雅で富裕層の家族はとにかく無垢で素直で相手のことをすぐに信じてしまう反面、半地下に住むその日暮らしの貧困家族はゲスで嘘をついたり相手に取り入ることに何の躊躇もない。

お金(生活)の余裕は心の余裕というのもある意味で本質を突いているのかもしれません。

この作品で貧困家族が最終的に迎える結末もどこか固定化した階層の逆転がないことを暗示しているかのようです。

日本と韓国の社会は似たような課題を抱えているとはいえ、これほどまでのクオリティで、リアルかつ美しく描いた作品もなかなかなかったのではないでしょうか。

韓国社会が抱えるバックグラウンドをもう少し知ればより楽しめることは間違いないので、改めてポン・ジュノ監督の他の作品や他の韓国映画も観てみたいと思いました。

とにかく迷っているなら観に行く価値はあります。昨年話題をさらった『ジョーカー』よりも全然後味は悪くないので、重いテーマを扱った作品ながらも気軽に観られる作品だと思います(PG12なのでやや際どいシーンもありますが)。