お金じゃ消せないニオイがある
見たあとずっとレビュー書いていませんでしたが、アジア監督初の作品賞の盛り上がりに便乗して。
大金が手に入って自分たちも上流階級の仲間入りができそうだと思ったのに、「お金を持ってること=上流階級」じゃないと思い知らされたお父さん。
格差社会というのは単に経済格差のことではなくて、生まれ育ちとか、家系とかDNAとか才能とか、自分の力ではどうしようも変えようがない持って生まれたものの格差だということ。それを悟ったからこその、お父さんの絶望(と怒り)。というふうに自分は見ました。
お金持ち一家は、自分たちは何も悪いことしてないのに、あんなことになって可愛そう。という意見もどこかで見ましたが、むしろ金持ちたちは知らず知らずのうちに貧乏人たちを虐げているんだという今の社会の残酷を描いていたと思います。
ストーリーとしては起承転結の転がよかった。下には下がいたという超展開。あの転を脚本として思いつけるかどうかが差なんだろうなあ。あのアイデアがあったからこその脚本賞だと思いました。それとくらべたら、最後のパーティでのドタバタは想像の範囲というか、最後はストーリーとして何かの方法で決着をつける必要があるので、ああいうことになりますよね。
それにしても「ジョーカー」「万引き家族」「わたしは、ダニエル・ブレイク」・・・。格差物語はだいぶ飽きてきたなー。今の時代を映すんじゃなくて、時代の半歩先、一歩先も見せてほしい。
2020.1.25