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パラサイト 半地下の家族のMKのレビュー・感想・評価

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
4.2
匂い。
上品な場所に行った時、憧れの人と話す時、面接やら相手に受け入れてもらいたい時。
職業、地域、文化、家族、性別、年齢などなど。確かに匂いで分かることや想起される記憶は沢山あるし、自分の匂いの必然性とか妥当性ということに消極的になってしまうかはその場のシチュエーションと心理状態によるところが大きいことはかなり同感できた。

無邪気な嫌悪感には相手の憎悪を助長する力があることも。

知識や分別に大差はないのに暮らしぶりに限って言えば圧倒的な格差が存在する二つの家族のはなし。

寄生は宿主が違和感を覚えないから寄生し続けられるのであってそれが全て。
何もなければ誰一人傷つけることなくそれなりにお互いに満足できる関係を築いていた家族に訪れたほんの小さな綻び。

それが匂いだなんて。

違いを実感できない、相手も違いを気にしていないのに、ただただ違和感と嫌悪感を生み出してしまうもの。

それは国々の事情によって違う気がするけど、そこを匂いに例えた表現だったのが国際的にも理解されたのかなぁと思ったりもした。

自らが蓄えた富が、最下層の人々を生きながらえさせられているだなんて。

そして低きに流れるが如しの無情の雨、しわ寄せが下流に押しやられているかのようで…いろんなメタファーで満載だった。

偽りの家族の絆からいろいろと考えさせられた万引き家族と家族の絆を前提とした本作からはまた違ったものを考えさせられる。

カンヌなんて言われて構えてなかったら前半はもっと笑えたな。

あとチョ・ヨジョンが往年の戸田菜穂ばりに可愛くてやられた。
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