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パラサイト 半地下の家族のumetaのネタバレレビュー・内容・結末

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

世界の光を享受する人たちと、その世界の隙間に隠れるようにして生きることしか出来なかった、社会的弱者たちの話だった。人間怖い系のホラーかと思ったけど、社会派映画の印象。
映画としてはとても力強く面白かったが、好みというわけではないという意味での個人的な★3.5です。見ててしんどかった。おもしろかったけど。笑

世界観のリアリティで作品の世界に引きずり込まれて、エンドロールまで彼らの世界から出てこられなかった。一緒に息を呑み、あっという間の120分。

タイトルの通り、すこしずつ他の家族に寄生していくくだりまでは予想していたが
まさか同業者がいるとは…ネタバレ見ないで見れてよかった。あの夫婦が出てくるところで半地下の家族は追い詰められ、一気に物語が加速した。

半地下家族が寄生していく展開など、少し都合が良すぎた感じはあったけど(留学したイケメンから成り代わりの息子にすぐ惚れてしまう美少女、すぐに末っ子を懐柔した娘など(どうやったんだろ…))
映画で描きたかったところはそこでなさそうだから仕方ないのかな…それとも、なりかわれる能力があるのにやはり隔てられてしまうということを描きたかったのか。
でも、基本的には、根っからのお金持ちはシンプルというのはすごくわかる。奥様のような人は本当にいるんだろうなと思う。その辺は違和感なし。
成り上がった人ではなく、生まれて一度もお金の心配をしたことがない人たち。周りを疑う必要がなかった人たち。

作品の中で匂いが2つの世界を分けるキーになっていて、いくら光側の贅沢な暮らしに入り込んでも、自身に染み渡る隙間の世界の消せない痕跡として、匂いが使われていたように感じた。
半地下の父親が家長を刺したとき、その手前で、やはり家長が家政婦夫婦の夫に対して匂いで激しい嫌悪感を出していた。
隙間に生きるしかなかった側の父親は、やはり世界の隔たりを強く感じたのではないかな。
同じ光の世界に入り込めていると思っていたのに、やはり壁はあり、見下された気持ち。世界が違うのだと指をさされるような。悔しさ、苛立ち。どうしても光の下にそぐわない自分たちへの絶望感。

世間で騒がれる無差別殺人と言われるような事件は、だいたい社会に追い詰められた人間が起こしている。果たして悪は社会かヒトか。同じ社会で前を向いている人もいるので一概に社会だけが悪いとは言いたくないけども。

ラストはそうだろうな〜と思ってたので驚きはなかった。個人的には事件後にランプがチカチカするくらいで終わっても良かったかも。あれ、お父さん生きてる!?みんな生きてる!?くらいで。笑
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