Ricola

ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビューのRicolaのレビュー・感想・評価

3.7
ずっと勉強に学生生活を費やしてきた、親友同士のエイミーとモリー。
そこで彼女たちは自分を見つめ直す高校最後の挑戦として、卒業前夜のパーティーに参加しようとする。

完全にティーン向けの内容で、若者たちに向けた啓発的な作品であると言えるだろう。


人気者たち、演劇部の人たち、いわゆる変人たち…さまざまなグループに属している同級生と、エイミーとモリーは卒業前にちゃんと向き合うことになる。

そのグループとして、またはその属性のイメージで、彼らがどういった人間かを判断しがちである。特に学生生活においてだと余計そうだろう。
しかし実際に彼らと対話して、一人の人間として先入観やらを取っ払って見てみると、新たな側面や本当のその人が見えてくるものだ。
エイミーもモリーも、それにどんどんと気づいていく。

そして彼女たち自身の変えるべき点についても、向き合うことになる。
それはかなりきついけれど、おかげで彼女たちは大きく成長する。

またSNSのあり方や、社会との接し方などにも、若者たちへの「アドバイス」が随所に観られた。
例えばピザ屋のおじさんなんて、知らない人にちゃんと警戒心を持てと、彼女たちのことを思って叱ってくれていた。
あと担任の先生の同類だったからゆえの意見は、かなり納得がいくものだった。

エイミーもモリーも殻を破って、というかはじけまくって、ラストなんてちょっとヤバすぎたけれど笑
それくらいぶっ飛んだ二人は、平穏過ぎた高校生活をたった一夜で変えてみせた、まさにヒーローだった。

正直あまり腑に落ちないところもあり、特にストーリーの流れの唐突さや理不尽過ぎるオチには驚いた。

とはいえ、これは現代っ子の感覚に合わせた刷新された青春映画なのだろう。
それぞれのキャラクターたちに感情移入しやすいようなリアルな表裏などがあって、彼らのジェンダー観も丁寧に描かれていた。
Ricola

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