原作未読。
ミステリー小説の映画化作品って、「映画で語りなおすだけの必然性を感じない」作品が多い印象だが、本作もまさにそういう作品だった。
悪くはないけど良くもないというか。
優等生的であまり刺さらないというか。
キャストは超豪華で、そこは非常に良い。
みんな華があるので、観ているだけで眼福。
映画としても丁寧に作られている印象で、そこは好感が持てた。
(丁寧というか「ソツなく」という印象ではあるんだけれど。ここら辺が優等生的なんかいな)
ミステリーとしても風呂敷の広げ方はとても上手く、ちゃんと先が気になり、求心力を維持し続ける構成。
一方、情報開示は単調で、新たな場面で次の展開へのヒントをもらい、以下それの繰り返しという構造につき、ここは作業的になってしまっていて少し退屈だった。
一点クリティカルなのは、本作のタイトルにもなっている「声」について、シナリオの中で効果的に機能させられてないじゃんか。
「声」を起点に巻き込まれた子どもたちがその人生を狂わせられ~みたいなこと言ってるけど、別に声を使われたから人生が狂ったわけじゃないよな。
そもそもの環境設定に起因する不幸であって、その過程でたまたま声を使われたに過ぎない。ここ、タイトルにもなっているので結構致命的なノイズとなった。
まぁ、何度も言うけど決して悪くはない。
けれど、心にはほとんど何の揺れももたらさなかったです。
私の中で漠然としたイメージ本作と同じところにある『前科者』を観るべきか悩み始めるな・・・。