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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊のroppuのレビュー・感想・評価

2.0
ついにウェス・アンダーソンが、ジャック・タチ喜劇の境地にたどり着いた!!かと思えば構図だけ。この人はリズムと間が面白いはずなんだけど、構図とカメラに持っていかれ過ぎ、ストーリーが全く入ってこない。

カットの短かさは自意識無くスクリーンを掻きながら流れるソーシャルメディアのごとく、ばんばん次から次へと、上下左右へ流れていく感じ、もう少し時間をください!情報が入ってこない、なのに一枚一枚、ミリ単位と言えそうなくらい画が完璧すぎて、ちょっと引く。

ジャック・タチやゴダールの60年代を意識したのだろう。いつもより細やかに画の中で運動してたり(個人的な意見)、カメラをついに動かしたりするのだけど、結局前作の『犬ヶ島』とも重なる、オマージュのカルパッチョにセレブリティのサティ、綺麗に並べて、さあ食べ放題召し上がれ!状態。怖い怖い。

逆に言えば、人間関係のダイナミックさに魔法を加えて、こんな風に劇的に生きている風景をスクリーンの中で観ることも悪くはないんだけど、作家というより、スタイリスト。自分のスタイルというより、コンピュータやアルゴリズム的なそれ。制作者の人間っぽさがまるでない。
ロゴスで作られた監督だからこそ、『グランド・ブダペスト・ホテル』は東的な画で素晴らしい作品だったけど、個人的にこれは、、、。
もっと身体的で「自由」なのがみたい。この監督「自由」じゃない、自分の作ったルールにとらわれ過ぎ。
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