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ホームワークのroppuのレビュー・感想・評価

ホームワーク(1989年製作の映画)
3.5
健全に機能しない国家と家庭、教育システムの狭間に置かれた子どもたちを目撃して泣く。イランイラク戦争の後の映画ということを考えると、ここに出てくる大人だけではなく、国家と政治の責任は大きい。

他のキアロスタミ映画に出演する先生たちに漏れなく言えることだが、権力と暴力でやろうとし過ぎ、社会が腐敗する原点、教育。それをキアロスタミはドキュメントしている。

個人的な意見は、教育は学校だけで済まされる分野ではない。学校への行き通、帰りの寄り道、捕まえる虫、試しに食べてみる花々、追いかけても捕まらない鳥、友達との喧嘩、ありとあらゆる自然が教育を提供し、あらゆる身体性が教育を享受する。

ラショナライズし、画一的な物差しで生徒たちを記号化させ、彼、彼女らの良し悪しを決めようとする大人の無教育。権力が権力を再構築し、被害を受ける市民、女性、子どもたち。
僕たち鑑賞者は、傍観者でしかいれないのか?
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