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クローズ・アップのroppuのネタバレレビュー・内容・結末

クローズ・アップ(1990年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

今更だけど、アッバス・キアロスタミが凄いわ。

リアリズ厶とはこのことを言う。そういえば『トスカーナの贋作』は、出会ったばかりのジュリエット・ビノシュとウィリアム・シメルが、恋人のフリをし始め、合理的思考ばかりの芸術とそのレプリカについて、または真実と真実でないものの境界線について語り合う。それは自らにも鏡写しになるダイアログであったのだった。僕たちが家族や友人と語るとき、嘘も真実もそのダイアログ自体はいつも相互的、協同的に鏡となる役割を果たす。

同作には、おそらく今作のアイデアが深く関わっていると推測される。両作とも、嘘か真かについてのまあ人間くさい話をする。
容疑者や裁判官との録音の交渉シーンの前後は映画地味てる、好き。しかし、ゴダールの登場人物たちのようにブルジョワやプロレタリアについては話さない、ダラダラしてるのがリアルで面白いし、バスの中でサブジアンが家族に近づいていくシーンも全く違う自分を『トスカーナの贋作』的な、鑑賞者にとって意味深なアプローチをしてる。

この宗教地味た、しかし愛と慈悲に溢れたこのやり取りを見て納得させられてきてるんだからこっちも、驚きだわ!なんでやねんまじで!
刑務所から出てきてからのやり取り、音切れ効果、“本物と偽物(本物のアーティストまたは役者)”の二人乗りのモーターバイク、花選び、号泣しました。
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