ルサチマ

思い、思われ、ふり、ふられのルサチマのレビュー・感想・評価

4.0
浜辺美波は映画に愛されたとしか言いようがないし、どの監督もみんな力入れて魅力的にしようとしてくるから当然いいんだけど、本人も器用に何より慎ましくカメラに収まってみせる。しかも今作はもう1人のヒロイン(てか前半は完全にこっちがヒロイン)福本莉子までが本当に良い。

福本が北村匠海に初めて告白するところなんて完全に他のキュンキュン映画ならラストに持ってくるくらいの演出で見せてくる。ここの雨音が消えてトンネルの反響音の中で告白をするサウンドデザインはヤバイ。それから始めて北村匠海が浜辺美波にキスする傘をめぐったやりとりとそこのサウンドも惚れた。

中盤以降ダレるけど、追いかけっこするシーンなんて、よく考えたら大学生くらいになると追いかけっこなんて絶対しないんだと気づいてここでもキタ。

ここでは無いどこかを巡る映画として見ると、主要人物たちが同じマンションに住んでなければそもそも接点なんかないのだし、姉弟になる前に呼び出した場所へは出向かないことで恋愛感情を抱くことのない何でもない関係になったと考えると、繰り返される高台は、どんな遠くまでも見渡せるそこさえも何もない場所であった彼/彼女たちにとって、繰り返し出向くことでその高台そのものは価値あるものへと変化していく。
あのラストのバカバカしい日の光はここでは無いどこかを照らすのではなくて、今・ここをただ照らしてるだけ。アメリカなんて浜辺美波はちっとも目指してもねーんだ。泣ける。
ルサチマ

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