モノヒロ

初恋のモノヒロのレビュー・感想・評価

初恋(2020年製作の映画)
3.2
三池崇史監督作品新作のオリジナル任侠映画。
期待し過ぎたせいもあってか、正直微妙だったかなぁ。

好きなところはもちろんある。
まず特筆すべきはベッキー!
とても素敵だと思います。もっと女優ベッキーが観たい!
窪田正孝さんも良かった。影のあるボクサー役がとても合っているし、巻き込まれていく様も、とても自然に演じられていたと思う。
あと、終盤である事実が発覚するんだけど、個人的にはまさかの展開で笑ってしまった。あの留守電の連発はズルい。そりゃ急激に手も震えるわ 笑
この主人公のキャラクターが、尖ったドン底キレキレボクサーではなく、不幸だけど普通な感性は持ってる普通ボクサーっていう、やり過ぎてないバランスはいいと思いました。

ただ、全体的に中途半端な気がする。
ヤクザ内部事情や、インテリヤクザの加瀬がどれくらいの位置なのか、ふわっとしか描かれないので、加瀬がポカを起こしてからのバレるのかバレないのかのハラハラ感とヤバさの度合いが把握出来ず、あんまりのめり込めないなぁ、とか。
ヤク中風俗嬢のヒロイン、モニカちゃんことユリも、やつれて顔色が悪かったり、髪の毛が傷んでたり、目も当てられない状況であれば、もっと彼女が助かってほしいと思えるのになぁ、とか。

コメディ要素を散りばめる演出はとても好感が持てるし、面白いとこは面白いんだけど、合間の小ネタが、タイミングとか、間の外し方とか、フリ部分の弱さとか、上手くないなと感じてしまった。
正直、ちゃんと面白いと感じたのはベッキーと留守電だけかも。

コメディ部分でどうしても気になったのは、ユリの幻覚のパンイチ親父が、沖縄民謡を聞くことによって踊り出すくだり。
凄く発想は素晴らしいのに、なぜ沖縄民謡なのかと思ってしまった。主人公がいつも聞いてた場面もないし、沖縄出身っていう描写もないし、パンイチ幻覚親父が沖縄民謡を踊ってたら面白いじゃん、ってな感じで、側面で笑いを取りにいこうとしてるように僕は感じてしまって、ちょっと萎えてしまったり。

ホームセンター内での乱戦も、もっと創意工夫が観たかった。シンプルドンパチと斬り合い殴り合いだけだとなぁ。

「初恋」というタイトルもどうなのかな。ラブストーリーとしてみるには、やっぱりなにもかも中途半端な気がするなぁ。

多少、割りきって観れば楽しく観られる作品だと思います。終わり方は好き。
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