岡田拓朗

初恋の岡田拓朗のレビュー・感想・評価

初恋(2020年製作の映画)
4.1
初恋

最期に出会った、最初の恋。

三池崇史監督作品ついにデビュー!
色々と気にはなっていたけど、鑑賞できてなかった監督の一人で、今回完全にオリジナルの新作ということでやっと鑑賞。

最高におもしろくて熱かった!
日本の映画でもここまでやれるんだという可能性と日本の映画だからこそこれができるんだという誇りと、その今欲しかった両側面を持ってる映画だった。

バイオレンスアクションとしてのおもしろさと人間ドラマとしてのおもしろさ。そこに少しばかりのコメディ要素も入ってくる。
アクションだけだと腰が重くなりがちな自分にとっても、これだけ詰め込まれてたこともあり、満足度が物凄く高かった。

ヤクザ映画に似つかわしくない甘酸っぱさのある『初恋』というタイトルセンスも、有名俳優陣のキャスティング(特に窪田正孝)も、普段このジャンルの作品を観ない人が観るきっかけになるという意味でも、役者たちの新たな一面が見れるという意味でも最高だ。
そして物凄くよい化学反応が生まれている。
ただし、グロめなシーンもわりかし出てくるという意味では、誰にでもおすすめできるわけではないのが残念。
それでも窪田正孝ファンの方々にはぜひ観て欲しい。

銃撃戦、太刀打ち、殴り合い、カーアクションの全部乗せで魅せる仁義なき争い(暴力)の中に、ピュアな初恋がブレることなく入ってて、そこに仁義が生まれていく。
そしてそれが、生きる意味を持ってなかった主人公を変えることに繋がっていく。

狭い世界の中で繰り広げられるデッドヒート。
無駄がなくアクションだけでなく、ストーリーにもちゃんとこだわってるのが伝わってくる。
ここまでやって115分で収められるのが凄い!

ただの争いだけで終わらない。
その中で変わっていく人間の生き様までをも見せてくれるので、最後は感極まって泣けてくる。

人生とは計画通りにはいかないものである。
巻き戻しもできない。
一度進んでみたら行くところまで行ってみると、行ったことのない人にしか見えない景色に出会える。

レオのリング上での(冒頭とラストの)変化から、あらゆる起こる偶然にまずは飛び込んでみること、飛び込んでみたら突き進んでいってしまうこと、そして自分を変えるきっかけは偶然起こることから始まることもあるんだというプランドハプンスタンスの概念が詰まっている。

人生終わったと思ったら、まず何かやってみよう。
運命を信じてみよう。
どんな状態でも明日を生きる活力を与えてくれる。そんな映画でもあった。

刺激があるようでない日常。
しかるべきタイミングであれば、リミッターを外してでも挑戦し、想像を超えた闘いに向かっていく人生もよいのではないか。
こんな人生だろうと諦めるくらいならと奮い立たされるものがある。

生き様と死に様。
自分と自分以外のために闘いながらも、必死に生にしがみつくからこそ滲み出てくる魅力が詰まっていた。

ラスト孤独であった2人が、お互いのためを想いながら、闘っているように見えるシーンは胸熱だった!

P.S.
キャストも全員最高でした。
全員よすぎたから特筆して誰かを逆に挙げることができない。笑
ベッキーはまた新たな扉が開かれた感じしてよかった!振り切ってからのベッキー色々と最高!
窪田正孝と染谷将太は表情でリミッター外れてるときがわかるのも凄い!
そして内野聖陽と村上淳が渋すぎる。
岡田拓朗

岡田拓朗