FutosiSaito

はちどりのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

はちどり(2018年製作の映画)
4.0
 今年の、本当に観てよかった映画。「難病」とか「余命何年」とかの極端な設定はないのに、日常がいとおしくなる映画。
 中二病とは言えない、もっと大きな韓国の時代や世相を反映した主人公とその家族ら登場人物。
 主人公ウニが出会うできごとや人々や、その関係が象徴的だ。
 まず「男尊女卑」、そして「学歴社会」、後者はつまり上昇志向なのだがそれは貧困層からの脱出願望でもある。そのなかで、理屈でなく感性で事実にぶつかるウニがいとしい。
 孤立感や自己否定感を理論的に説明できず、苛立ったりよくない方向に行ったり。
 それを導く塾の講師は、民主化運動を体現した人物像だったり。
 ひとつひとつが、一人ひとりがとても大切な「設定」として描かれている。
 だから、見返して(思い出して)考えれば考えるほど、すべてが意味を持っていることに気付かされる。
 ウニの感性のままに表現できる、監督の力量にも驚いた。
 
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