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映画はアリスから始まったのTSのレビュー・感想・評価

映画はアリスから始まった(2018年製作の映画)
3.4
【史上初の女性監督の軌跡】74点
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監督:パメラ・B・グリーン
製作国:アメリカ
ジャンル:ドキュメンタリー
収録時間:103分
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 公開当初から気になっていたのですが、極々一部の劇場でしか上映しておらず断念。さらにそこから中々サブスクで配信されなく、諦めていたのですが「スターチャンネルEX」で奇跡的に配信されていたので、これのために1週間無料視聴で登録。多分、様子を見てすぐやめちゃうと思いますが、ありがたくも鑑賞できて良かったです。さて、今作は映画黎明期の伝説的映画監督を追うドキュメンタリーです。映画の父、リュミエール兄弟をはじめ、メリエスやグリフィスなどはよく聞く有名人ですが、アリス・ギィは中々聞かない名前だと思います。この方、実は映画史上初の女性監督と言われていて、長らく評価されずに忘れ去られていたのですが、1970年代から再評価されてきたようです。今より圧倒的に男尊女卑の風習が残っていたので、なかなか認められないところがあったのでしょう。僕も、今作がなければあまり存じ上げなかったと思うので、そういう点では非常に意義のある作品だと言えそうです。

 ドキュメンタリーなので、現代を生きる映画に精通する人たちにインタビューをして、アリスの功績を聞く形となります。所々、アリスの作品が流されて興味深いです。諸説ありますが、初めて物語映画を作り出した監督もアリスとのこと。どこまでを物語映画とするかは難しいところですが、映像の魔術師とされたメリエスとはまた違う観点で映画を撮影していたのは面白いです。特に妊婦や妖精を扱ったりなど、女性監督が故に女性視点でさまざまな短編を残しているのが特筆に値するでしょう。しかし、それが露骨であったからか中々評価されなかったのも事実。わずか100年前のことなのに、アリスの作った作品がどこに保管されているのかもわからない状態。こうやって歴史遺産は消えていくのかと思うとなんだか儚くなってしまうのですが、少しでも多くの作品が発見されたら何よりだと思います。

 勉強にはなりましたが、探していた割には満足度としてはまずまずといったところ。映画史の勉強には絶対なりますので、興味のある方はぜひ。あのヒッチコックやエイゼンシュタインも影響を受けたと言っているのですから、彼女の偉大さは本物なのでしょう。今のところ「スターチャンネルEX」でしか観れないことを考えると、なかなか貴重な作品だと思います。
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