シャトニーニ

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -のシャトニーニのレビュー・感想・評価

4.3
「君を守るために、ボクは、私は」

優雅でスキの無いアニメーション美術にため息が出る。

ファンタジーとはいえ現実の近世から19世紀に限りなく近い描写がただ美しい。そんなパステルカラーの世界の令嬢は、モノクロな心の自動手記人形の夢を見るか。

京アニのことなら早口になってしまうおじさんなので「ヴァイオレット〜」のTVアニメシリーズはほとんど見てました。TV版も映画のようなクォリティで実質映画のTV版だったといってもいいほど、どちらも肝心の内容は人々を繋ぐ一話完結型ドラマ。

自動手記人形といわれる主人公がその精密な機械式義手を使って綴っていくスチームパンクでありながら有機的な人の営みに関わっていく、ハガレンみてぇな世界のラノベ版ピノキオといった感じです。
ヴァイオレットの冷たくも、向上心のあるまなざしには、傷病兵でありながら自らの傷すらもわからずにいた悲哀と、人という生き方と切なさを理解しようとする憂いがあって、そこがまたよくあるはずの話を、ドラマへと変質させているのです、オレ、ヒトガ泣くワケガ、ワカッタ。

映画オリジナル登場人物にイザベラ、そしてテイラー。
声のキャストは寿美菜子、「けいおん」を知ってる人ならそう、ムギちゃんこと琴吹紬の声の人。彼女のファンのため今回は絶対見ようと思ってたので、イザベラという奥行きあるキャラをドキドキしながら見られました。強気な田舎娘が、次第に高貴さを見せていくのは「マイ・フェア・レディ」などを彷彿とさせます。テイラーには悠木碧、まだ幼くも芯のしっかりした女の子になっていってほっしい。ともかく、その圧倒的描画力に見ていて時間を忘れるので、Aパートが終わってイイハナシダナーと余韻に浸っていたらBパート突入。え、おかわりもあるんですか?というボリュームです。

あ~^、軽く百合の花園を通り越した姉妹の絆っていいなぁ......女版北斗の拳という具合に、こんなに苦しいのならこんなに哀しいのなら、男などいらぬ!
ギミックとして別離は必要だけど、もっとイチャイチャ見たいんじゃ〜^

悲しく理不尽な事件は純粋なレビューに混ぜてしまいたくないので語りませんが、人々の別離の悲哀を、手紙という絆で結んだ本作は、これからの京アニ復興へのひとつの希望の光だとも思います。見たあとなら、黙祷するか叫びたい、

エイミー!