九月

燃ゆる女の肖像の九月のレビュー・感想・評価

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)
4.7
18世紀のフランス、あらゆる制限の中で生きる、この時代の女性たち。望まぬ結婚を控えた貴族の娘と、彼女の肖像を描くように依頼された女性画家。そんなふたりが、身分も性別も関係なく恋に落ちる物語。どの場面を切り取っても絵になる、その完成度の高さ、まさに芸術だった。

貴族の生まれながら親に結婚を強いられ、いつも不機嫌そうな顔をしているエロイーズ。絵を描いて生計を立てているマリアンヌは、女は画題も限られると言い、絵の売却の際には父の名を借りるほど。淡々と仕事をこなす女中のソフィーは、同じくらい淡々と、妊娠していること、そして堕胎することを告げてくる。
それぞれに抱えている事情があって、階級や立場も違うはずなのに、横並びの関係性を築いていっていたのがとても印象的。

主人公の画家がモデルを見つめて観察している時、彼女もまた見つめられている、というシーンがやけにドキッとしたなぁ。

圧倒されっぱなしだったけど、この映画好きかどうかで聞かれたらどうだろう?
そう思いつつも、好きなシーンはたくさんあって、不思議な余韻が残る。
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