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家族を想うときのyoshi44のレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
3.7
自分が普通に生活しているだけでは気づきもしない、名もなき人々の喜びや悲しみを知る。
それは映画が持つ素晴らしさのひとつ。
日本の貧困問題を扱った『万引き家族』と同様に、英国の労働問題を名匠ケン・ローチが引退を撤回してまで扱った問題作。
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過酷な配送業者の労働、働けども楽にならない生活、家族のためなのに離れていく家族。淡々と日々が続くのだけれど、確実に何かが壊れていく。
メディアが語る見せかけだけの豊かさに騙されて、どんどん貧しい国になっていく日本と酷似していて、先進国と言われていた国の断末魔が聞こえるよう。
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無名の俳優陣の扱いが本当に巧みで、まさしく隣人の家庭に起こっている問題を直視させられているような感覚に陥る。
『フロリダ・プロジェクト』も『万引き家族』も、そして『ジョーカー』も全てが根底で繋がっているような感覚。
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1月からまだ所得税が上がるらしい。コンビニオーナーの過酷さがニュースになっている。この不寛容な世界で幸せに生きるにはどうしたらいい?
救いは示さず、そして生活は続いていく。
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