タカシサトウ

家族を想うときのタカシサトウのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
3.7
[立場の弱い人を追い詰める社会]

  仕事に命を取られそうになり、家族も崩壊するような過酷な環境。これが、イギリスの宅配業者の現状か、と思うと驚く。日本でも似たようなものだろうが。

 一方で、主人公のヒッキー(クリス・ヒッチェン)が少しでも話を聞いて貰う人がいたなら、破滅的にならずにもう少しよく考えて行動したら、もう少し違った状況になったかもしれない、と思ったりする。

 命までは取られないが、一方で、妻アビーの受け入れる力も、妹のライザの癒すような力も大きいと思う。

 そして、ラストの飛び出しは酷く、ちょっと敢えて酷く作り過ぎてる気がした。そんな流れにしなくても、と。 

 俳優陣もアビーのデビー・ハニーウッドも上手いし、息子セブ役のリス・ストーンも悪くないし、ライザ役のケイティ・プロクターも光っていた。

 私は「わたしはダニエル・ブレイク」の方が、共感できたが、こちらも今の社会の貧困層の苦しさの現状を鋭くえぐる作品だと思う(2020.6.20)。