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家族を想うときのriikoのレビュー・感想・評価

家族を想うとき(2019年製作の映画)
4.2
前作同様、セクショナリズムへの警鐘。

人間最強の能力って「慣れ」と「忘れる」ことだと思う。毒にも薬にもなる能力。

富裕層も貧困層も資本主義に首を垂れては歪みに気付きながらもいずれ忘れてしまうんだよな、その歪みに「自己責任」というラベリングをして慣れてしまうから。

自己責任論を覆すには、自分の行動の先に自分と同じ人がいる想像を持ち続けることと、そしてそれを行動に移し続けること。これを社会全体でやってかないと変わんないんだよってケン・ローチは言っている。

でもこれってすごくしんどい、ただでさえみんな自分のことでいっぱいだから。
だからそんな時に人間最強の能力を使えたら、と理想では思う…
人に「忘れる」能力が備わってるのは「伝える」ためだと個人的には思う。忘れてしまうから伝えるのだし、伝えてもらえる。誰にって、他者に。
嬉しいことが他者に共有することで幸福感になるのなら、しんどい時こそ他者意識なんだよな。
しんどいことも他者がいるから慣れられる。家族はその最たる存在だと思う。

このしんどさの先が自己責任なのかお互い様なのかで、思考も行動も全く変わってくる。
会社という小さなコミュニティの中でさえ嫌になる程痛感している。
お互い様でありたいし、そういったコミュニティをいち社会人として作りたいとは思う。

しかし…ケン・ローチのこの力強さ、80才を超えても衰えないな…
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