エイデン

黒い乙女Qのエイデンのレビュー・感想・評価

黒い乙女Q(2019年製作の映画)
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孤児である17歳の芽衣は過去のトラウマから心を閉ざし、養護施設でも一切言葉を発することがなく、院長からも「壊れている」と言われ疎まれてしまっていた
そんなある日、彼女を里子に迎えたいという健一郎とナオコの宇田夫妻が養護施設を訪れる
宇田夫妻は多くの人に支えられて事業で成功したものの、子どもができにくい体質でいたため、里子を引き取り幸せにしてやりたいと言う
芽衣は迷いながらも自分の両手でじゃんけんをし、夫妻について行くことを決める
車で夫妻の自宅へとやって来た芽衣は、家の中にいる松葉杖をついた少女を見て驚く
彼女は芽衣と同じ17歳で、昨日夫妻が養護施設から引き取って来たラナというらしい
健一郎は2人に里子がもう1人いることを伝え忘れたと詫びながら、これからは2人は姉妹として、そして家族としてやっていこうと笑いかける
その後 食事を囲みながらも芽衣とラナは口を開くことはなかったが、構わず夫妻は会話を続け、2人に学校へ行くための買い物のためと50万円ずつ渡す
そして健一郎は注意点として、離れにある蔵には近づかないように申し付けるが、その最中 芽衣は背後に不穏な気配を感じる
するとそこに、庭から「人殺し」と叫ぶ声が聞こえてくる
慣れた様子の夫妻によると近所のおかしなおばさんで、時折ああして叫んできてはストレスを発散しているのだという
そうして新たな生活が始まった翌日、芽衣が偶然聴いていたモーリス・ラヴェルの『ボレロ』にラナが反応を示す
それをきっかけに2人が話をしてみると、趣味や好みが似通っていることが判明
それどころか欲しかったものをオークションサイトで互いに競っていたり、誕生日まで同じだったとわかって意気投合する
その日の夕食では芽衣とラナも夫妻とも言葉を交わし、まだ不格好ながら家族としての生活が始まっていく
夜、芽衣の部屋にラナが訪れ、一緒に寝てくれるように頼み込む
しばし話をする中で、ラナは公表されていないものの今地球に直径400kmの隕石が落ちて来ており、やがて皆が死んでしまうと怪しげな話を語る
突拍子もない話ながらも芽衣は無難に反応し、2人は互いに信頼を深め合うのだった
だがそんなある日、2人にもたらされたのは、この幸せを破壊する健一郎のある告白だった



ハイパーリバーサルホラーと題した2部作建てのホラー作品
タイトルにQとあるように謎の出題編となっている
竜騎士作品みたいだな

明らかに怪しい夫妻に、何が急に訳わからないことを言うラナちゃん、外で騒いでるメイプル超合金の赤くない方に、“お多福様”と呼ばれる謎の存在など、散りばめられる謎にただただ混乱

という感じで、あくまで謎を出すだけ出すという構成のため、本作だけでの評価はしづらいところ
とは言ってもサスペンス・スリラー調で進むストーリーは割と面白いし、謎が良いアクセントになって、続編への引っ張りが上手い

後編ありきの作品であるため注意は必要だけど、製作陣のチャレンジングな姿勢も感じられる低予算にしては良作なので、ぜひ後編も合わせて試してほしい
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