あんがすざろっく

エターナルズのあんがすざろっくのレビュー・感想・評価

エターナルズ(2021年製作の映画)
4.8
marvelは常に挑戦し続ける。

どんなシリーズものでも、それは当たり前なんだけど、アイアンマンから始まったMCUの中で、エターナルズはかなり野心的です。

アベンジャーズとも、X-MENとも違うチームの空気。戦隊ヒーローの連帯感を思わせます。アジアンテイストを打ち出してる部分もあったからかな。3時間はとんでもないボリュームでございました…
そして残った、言葉では表しにくい違和感。
これは何だろう。


シャン・チーの時は、最初はあまり期待感はなかったのに、いざ観てみたら、僕の想像を上回った面白さでした。

しかし、エターナルズに関しては、いつもMCU作品にあった躍動感とか、高揚感が、あまり感じられなかった。
劇場で観た後、どうしてもレビューに手を付けられず。
書きたいことがまるで思い浮かばない。
今一度、見返してからレビューをしよう。

そして、見返して思ったのです。
今までになく野心的で、異質な作品であるということ。


7000年もの間、捕食獣ディヴィアンツから地球と人類を守り続ける宇宙種族、エターナルズ。
一度はディヴィアンツを壊滅させたかに思えたが、サノスとアベンジャーズによる宇宙規模の戦いの後、再びディヴィアンツが出現。
散開していたエターナルズは、再度集結する。




「アベンジャーズ」は、何人ものヒーローが集結して悪に立ち向かう、それだけでテンションブチ上がりの展開が魅力でした。
しかし、そこに行き着くまでに、アイアンマン、キャプテン・アメリカ、ハルク、ソーは、それぞれに単体の作品で、それぞれの活躍をファンの心に焼き付け、それが「アベンジャーズ」に繋がって、アドレナリン全開のエンタメ大作となったのです。

今回のエターナルズは、ほぼ日本では初登場のヒーローチーム。しかもメンバーが10人。

アメコミファンならまだしも、全くと言って知名度のないヒーローを10人も一気に登場させるとは、随分大きな冒険です。
MCUという冠はありながらも、かえってそれを逆手にとった作りだったと言えます。

そのエターナルズ
メンバーは
セルシ:物質を自由自在に変えられる
イカリス:宙を飛び、目から強烈なビームを発する
セナ:頭で思い描いた武器を操り、テレパシー能力を持つ
ギルガメッシュ:強固な拳で戦う怪力の豪傑
エイジャック:癒しの能力を持つ、エターナルズの精神的リーダー
ファストス:天才的な技術力と頭脳で、テクノロジーを用いてエターナルズを支える
スプライト:見た目は少女のようだが、変身したり幻影を生み出すことができる
キンゴ:エターナルズの中で飛び抜けて陽気な性格。指からエネルギービームを発する
マッカリ:驚異的な瞬足を持ち、瞬間移動で様々な地域や惑星を調べている
ドルイグ:マインドコントロールを得意とするが、メンバーと対立し、チームから孤立する


それぞれの能力を活かした戦いぶりは、個性を際立たせるには大人し過ぎて、その違いが少し分かりづらかった面は否めません。
しかし、メンバー全員がとても魅力的なのです。

地球に潜伏して暮らすうちに、人間への愛情を抱き始めた者。
人間同士の争いを目の当たりにし、「人間は守るに値しない」と見限る者。
自分の能力が人間の虐殺を助長してしまったと後悔の念に苛まれる者。
神としての力を捨てたくない、と自らの存在意義に固執する者。
自分の生まれを呪う者。
自分達の役割の本当の理由を知り、他のメンバーが疑問に思う中で、創造主に忠実であろうとする者。
幻惑に苦しむメンバーを、自分が守ると誓う者。


誰に一番共感できるかと言われたら、どのメンバーにも少しずつ共感できる部分があって、だから全員魅力的に見えるのです。

エターナルズを演じたキャストは、セナ役のアンジェリーナ・ジョリーとエイジャック役のサルマ・ハエック以外は僕は全く知らなくて…。ギルガメッシュ役のマ・ドンソク(ドン・リー)は、名前だけ聞いたことがあったんですけど。
セルシ役のジェンマ・チェンがめちゃくちゃ美人😍綺麗な人ですね〜。
イカリス役のリチャード・マッデンもイケメンです。

対するヴィランのディヴィアンツ、こちらもなかなか強いんですけど、敵としては存在感が弱かったかな…その分、エターナルズが魅力的だった訳ですけど。

キャラクター紹介に随分割いてしまいました。
知名度の低いヒーローチーム、という部分も野心的だったんですが、LGBTQに触れられていたり、メンバーの一人が聴覚障害を持つ俳優だったりと、現代社会の多様性に合わせた新しい試みにもチャレンジしています。

またMCUと言えば、畳み掛けるようなアクション、息をもつかせぬダイナミックなスペクタクルシーンの連続で、ヒーローの活躍が描かれます。

が、今回のエターナルズ、アクションは確かにあるものの、矢継ぎ早というものではなく、要所要所にギュッと凝縮されています。
アクションの連続で飽きさせない、というスタンスで作られてはいません。

ソーは別として、エターナルズは人間ではなく、神々です。
物語全体を覆う空気が、神々しいのです。

シェイクスピア仕込みのケネス・ブラナーを擁立してさえ、マイティ・ソーは神の物語というよりも、コスチュームプレイのアクションとなったのに対し(それはそれで良いのだけれど)、エターナルズはアクションありき、にはなっていません。
ヒーロー達の確執、アイデンティティがポイントになっています。

作中語られるワードも、注意して聞いていないと途中で話が分からなくなってきます。

アリシェム、セレスティアルズ、ティアマット、ユニマインド。

単純明解な作品ではないので、やはり今までのMCUとは異質。
この作品からMCUを追いかけ始める方がいるとしたら、他作品の賑やかさと目まぐるしさに、圧倒されるんじゃないでしょうか。
どちらかと言うと、MCU上級編の気がする本作です。
一度観ただけでは分からなかったその魅力は、実は奥が深かった。
改めて見てこの仕上がり、癖になるかも知れません。

監督のクロエ・ジャオは中国出身の女性監督。
「ノマドランド」でアカデミー作品賞と監督賞を受賞した監督さんです。
本作のスピリチュアルな作風は、ジャオ監督のセンスとバランスの良さが出ていたのだと思います。
ウィキを調べたら、「ノマドランド」で受賞する数年前に、既にエターナルズの監督に就任が決定していたというのですから、marvelの先見の明と、ワールドワイドな起用力は計り知れません。


MCUと言ったらポストクレジットやミッドクレジットの謎解きも楽しみで、次回作への布石がある訳ですが、今回に限っては、もう本編だけを充分に味わいたい。
申し訳ないけど、ポストもミッドもちょっと邪魔に思えたくらい。
そのぐらいの本編の充実感。
エンディングに流れるフォリナーの
「Feels like the first time」も、テーマ曲を含めた劇伴も、どれも見事。
早めに見返して良かったです。
MCUの劇場作品は全部見てきたけど、ベスト5にあげてもいいくらい、大好きになりました。

ちなみに
僕のMCU作品ベスト10は
1.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
2.ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー
3.シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
4.アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー
5.エターナルズ
6.キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー
7.マイティ・ソー/バトルロイヤル
8.アイアンマン
9.ブラックパンサー
10.シャン・チー/テン・リングスの伝説


ディズニープラスでエターナルズのメイキングを見ましたが、むちゃくちゃ良かった〜

MCU 26作目


レビュー数もようやくクォーター。
1000まではまだまだ遠い…
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