コマミー

ロッジ 白い惨劇のコマミーのレビュー・感想・評価

ロッジ 白い惨劇(2019年製作の映画)
3.3
【溝が生み出す狂気】


ここ最近、いわゆる「鬱映画」の需要が高くなったように感じる。
「ヘレディタリー」や「ミッドサマー」、「ハウス・ジャック・ビルド」に「ジョーカー」(←一応)など、映画マニアだけでなく、ほんの興味本意で観る観客が多くなった作品が多い。
今後もいろんなエピソード等が映画化されるだろうが、劇場で観れる作品もあれば、うっかりスルーされた鬱映画もある。
その一つが、この「The Lodge 」だ。

監督は、「グッドナイト・マミー」で世界中の観客を震撼させた"セヴェリン・フィアラ"と"ヴェロニカ・フランツ"の女性コンビ監督だ。「グッドナイト・マミー」は、双子の兄弟が、顔面整形から帰ってきた母親が別人のように変わり果てた姿・性格を見て、あらゆる手を使って「母親かどうか確かめる」という物語だ。自分の今みたいな説明では足りないくらい、"理不尽な家族模様"を描いていた作品だった。

この「ロッジ白い惨劇」も、家族の物語である。
だが、一つ違うところがある。「グッドナイト・マミー」では、[母親が子供に対して嫌悪感]を抱いている所を描いていた。
だが、この「ロッジ白い惨劇」では、[子供が新しい母親に対して嫌悪感]を抱いている。
双方、"溝の描き方"が圧倒的に違う。そして、その後の描き方もとても違う。
本作は、より"宗教的な所"に着目している。……まるで「ヘレディタリー」だ。

そして、本作で残念だった所は、新しい母親のグレイスの行動"について、深くは触れていないことだ。彼女がなぜその行動に出るのか?彼女が何者なのか?を"少し掘り出していた"ならば、もっと楽しめたかもしれない。
それに、「ヘレディタリー」のようなケースがこうまでに"量産"されると、冷めてしまう。

もう少し、ビビらして欲しかった一作でした。
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