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フリー・ガイのSHIMABOOのレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.5
 いやぁ良い拾い物をした。観ている間じゅうウキウキしっぱなし、世の中の9割5分の方々に向けた最高の週末映画である。

 何より映画全体が「肯定感」に溢れているのが良い。コーヒー一杯でカフェで5時間粘るねーちゃんだろうがゲームのモブだろうが脳みそ半分の脳筋モブだろうが親のすねかじり引きこもりゲーマーだろうが、みんな笑ってりゃもれなく全員幸せじゃねえかという……いや全くその通り!!「まあまあ色んな人が居ても良いじゃないスか」という”許す心”が、今の世に最も不足していて、かつ必要なモノであるという素晴らしいとしか言いようのないメッセージ。「ホームレスは全員消えればいい」等とぬかしやがる某メンタリストには是非とも観てほしい映画である。

 そしてメガネを使った演出も憎い。「サングラスを外す」ということは互いに見つめあう、相手に心を許すという行為であり、また普段それをしている人にとって「眼鏡を外す」ということは逆に目を合わせない、心を開かないという態度を表している。CG全盛期を迎えたハリウッドの大バジェット映画だからこそ、こういう映画的な表現は非常に心に沁みる。

 役者陣もフルに実力を発揮している。ライアン・レイノルズは元々のガタイが良すぎるので銀行員といわれても「いやお前主人公やんけ」と観る前は思ってしまったが、顔の演技が巧すぎるので不問とする。こりゃモブキャラですわ。ガイはレイノルズをおいて他に居ない!というレベルの見事な顔芸は必見。言動がいちいちムカつく社長アントワン役にタイカ・ワイティティ。確かにムカつくんだけどひょうきんでもある、どこか憎めないキャラクターを完璧に演じ切る。てゆーかこの人実際にめっちゃ多才なんで、マジで本気で嫌な気分になることも時たま……あ、いや失礼。持たざる者の僻みですなこりゃ。唯一の傷としては、ヒロインのジョディ・カマ―だけ個人的にちょっとなあ(でもキスシーンは最高でしたよ!)。
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