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フリー・ガイのtanayukiのレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.3
オンラインVRゲーム「フリーシティ」内のモブキャラ(Non Player Character)にすぎなかった銀行員がブルーシャツガイとして自らの意志(?)でレベルアップを始めたとき、そのAIは目的をもった人工生命へと進化した。

生命にあってAIにないのは目的。AIが自ら学習するようになったとしても、目的はいまのところ人間が与えなければならない。生命には生き残る、子孫を残す、隙あらばよりあまねく存在するという目的があらかじめインプットされているから、放っておいても特定の方向に進化した。より目的に適うのはどっちという「価値」が発生して、「優先順位」ができ、それをやる「意味」が生じる。どれもAIには与えない限り備わっていないものだ。

ちなみに多様性が生じたのは食う食われるの生存競争と外部環境との相互作用。生命が一つの種しか生み出せなければ、進化のスピードはもっとずっとゆっくりしていて、たぶんどこかの時点で絶滅してたはず。遺伝子を多様に保って環境の激変を生き残るのも、生命の目的に適った大いなる知恵。

ブルーシャツガイに最初の目的を与えたのはキーズ。ミリーに振り向いてほしくて仕込んだのは、まさに生命の目的そのもの。ガイたちモブキャラは生命の息吹を吹き込まれて、メタバース内で独自のエコシステムを築くに至った、ということか。

アントワン役のタイカ・ワイティティは、設定上はリアルな人間のはずなのに、誰よりもCGキャラっぽいのが笑える。本人も狙ってやってるんだろうけど、動きも表情も作り込まれたキャラっぽいんだよね。マンガの実写化みたいな感じ。

△2021/10/30 Apple TV登録。スコア4.3
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