毎日同じ日々の繰り返し。毎日同じ飲み物を買って、同じセリフを話し、同じ仕事をする。傍若無人に目立って暴れまくる「ヒーロー」たちに踏み躙られて、萎縮し、背景に徹している。それが自分に与えられた役割であり、覆すことのできないプログラムだと言い聞かせて。でも、本当にそうなのか。もしかしたら、この世界は暴力が支配し弱肉強食だという言説さえも、誰かが抑圧するために恣意的に設定されたものなのかもしれない。他のやり方で、「NPC」だからこそできる優しいやり方で、この世界をより良い場所にできるのかもしれない。この世に生きる「キャラクター」である以上、同じ「コード」で構成されているのだ。だったら誰だって同じくらい「自由な存在」になれるはず。
GTA的なオープンワールドゲームでやりたい放題できると言われれば、普段の生活の中で抑圧している暴力性が暴発してしまうのかもしれない。NPCだから、モブだから、そういうゲームだから、0と1で構成されたプログラムだからと、そこまで考えずに思うがままに暴れまくっていることもあるだろう。そこに背景やモブに対して意識を向けるという発想はない。でも極端な話、もしかしたら自分と何の関係もない他者への想像力を欠いてしまうことに繋がるのかもしれない。誰もが怖がることなく、自由に優しくあれるような世界を作っていけるのは、プレーヤーひとりひとりの勇気と行動だ。
