ぎー

フリー・ガイのぎーのレビュー・感想・評価

フリー・ガイ(2021年製作の映画)
4.0
【第94回アカデミー賞特集11作品目】
「いい一日ではなく素晴らしい一日を。」
映画を見る人が全員が幸せになる映画だった。
僕らはどこかで思っている。
起伏のない人生など、起伏のないストーリなど面白くない、と。
この映画はもしかしたらそれに対するアンチテーゼかもしれない。
主人公も物語も"起"でしかない。
そこに"伏"はない。
でも楽しいし幸せになる。
どこかでそんなの現実には難しいって思ってる自分がいる。
でも、この映画はまさにそれをやってのけた。
夢のような世界を描いて、世界中を感動させて世界中を幸せにして、そして、大ヒットもした。

そんなことができたのは、映画として"世界"を創ったから。
類似作がないわけではない。
モブキャラの自我のような主題は、『シュガー・ラッシュ』に通ずる。
造られた世界の中の生活という描写は、『トゥルーマン・ショー』に通ずる。
バーチャルな世界でのアクションという手法は、『レディ・プレイヤー1』に通ずる。
そして、何をもって生きているというのかという哲学的なテーマは、『マトリックス』に通ずる。
ある意味、もしかしたら新しい要素はないのかもしれない。
が、それを前述の通り圧倒的にポジティブなストーリーで圧倒的な映像描写でやり切ったのが凄いところ。
一瞬の2時間だった。

ポップコーンムービーかもしれず、そんな深い意味は無いかもしれないけど、僕らは本当に主人公の言うように「いい一日ではなく素晴らしい一日を。」と言う気持ちで生きているだろうか。
それは、この映画の主人公のガイのように、世界の端の海にかかる橋を渡るまでしなくとも、例えば、カフェでブラックコーヒーじゃなくてカプチーノを作ることで実現できることかもしれない。
でも、僕らは日々の人生で、自分の枠の外に、レールの外に目を向けて足を踏み出す努力も、視野も、感覚も失っている。
グローバルにものすごい金額を動かしてる、なんてふんぞり帰ってる僕らビジネスマンより、はるかに作中のカフェの女性店員の方が世界は広いかもしれない。
そういうことを忘れちゃいけないなって、思った。

⭐︎1番印象に残っているシーンは、ガイが橋を渡る場面。
高揚感も盛り上がりも凄かったし、世界を広げって言うテーマを、ものすごく直接的にわかりやすく描写してくれた。
そしておそらくこんな映画を見てる人は大体が映画好きだけど、マーベルとかスター・ウォーズのパロディを出されて、盛り上がらないわけがない。
最高のエンタメだった。
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