ぎー

レミーのおいしいレストランのぎーのレビュー・感想・評価

4.0
【第80回アカデミー賞特集】
映画を観る目的はいくつかある。
もし"幸せになりたい"、"希望や可能性を感じたい"、そう思っていたら絶対に見るべき一本。

この映画は終盤のグルメ評論家イーゴの評論に全てが詰まっている。
「誰もが偉大な芸術家になれるわけではないが、誰が偉大な芸術家になってもおかしくはない。グストーのレストランの新しいシェフは、恵まれた環境に生まれ育ってはいない。だが、料理の腕において、フランスで彼の右に出るものはいまい。近いうちにまた訪ねるとしよう。今度はもっとお腹を空かせて。」

映画を見始めたとき、僕らは皆ドブネズミのレミーがレストランでシェフになどなれるはずないって思ってた。
なのに、なのにである。
終盤はならなきゃおかしいって心の底から思ってた。
シェフにならないことは世界の損失だし、彼にはその腕を評価される権利と実力がある。
ディズニーは本当に上手い。
レストランの料理の対極にあるドブネズミを主人公に据えることで、世界中をあっと言わせた。
皆固定観念にがんじがらめになっている。
成功に出自やカテゴリーは関係ない。
才能と努力が全てなのだ。

アニメーションの演出も流石で、洗練されていてお洒落。
特にアニメーションにも関わらず美味しそうな料理の描写は素晴らしい。
全く料理に才能のない、でもら憎めないリングイニ少年の描写、これは流石にあり得ないが、レミーの家族であるネズミの皆のドタバタやレストランでの活躍。
勧善懲悪も分かりやすく、エンタメとして完成し切っている。

強いて悪いところを言うならば"綺麗すぎる"が、綺麗すぎる素晴らしい映画があったって良いじゃない。
ぎー

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