のほほんさん

鉄道運転士の花束ののほほんさんのレビュー・感想・評価

鉄道運転士の花束(2016年製作の映画)
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なんともとぼけた魅力のある作品だった。
人を轢き殺して初めて、鉄道運転士として一人前になる。そこだけ聞くとブラックジョーク。轢き殺した人に供える花を自分で栽培してる、なんて描写も。

しかしこの作品で面白いのは、その物語に生と死、父と子が絡んでいること。
実の親に捨てられて施設で育ち、10歳にして自殺を図った子(子供の頃は影のある美少年なのに、成長したら何だか間の抜けたユーモラスな顔つきになった)、祖父の代から何十人と轢き殺してきた運転士。子が運転士になるのを防ぐ為に色々やるけど、血は争えないのか(血は繋がらないのに)子は運転士の道へ。

子が運転士になれなくて腐っている時には同じ様にヘコみ、子が気を病んでいると彼もまた気が変になる(死んだかつての恋人が在りし日のまま現れる)。

運転席で童貞を失うのと同じ様な感じで、子が初めて人を轢き殺したとき、遂に2人は親子になる。よくやった、と息子を抱き止める父(笑)
代々の親子も、もしかしたらこうして続いてきたのかも

不謹慎と言えばそうだけど、こうして世界は続くんだなあ、とも思う。