鉄道運転士の花束の作品情報・感想・評価

上映館(2館)

「鉄道運転士の花束」に投稿された感想・評価

やりたい職業に就いてはみたけれど。


働く人なら一度は考えたこと、あるのではないでしょうか。
自分のやりたいことはなんなのか。
そして、自分のできることは。

19歳のシーマが直面したのは、まさにこの問題です。
彼は幼い頃から鉄道運転士になることを夢見てきました。それには少々複雑な事情がありまして。

穴が開いていて呼吸が出来るから、という理由でバナナの空箱に入れられ、孤児院に捨てられた過去。
自殺しようと歩いた線路の上で、運命の出会いが。

彼を間一髪のところで助けたのは。
何を隠そう、まさに彼を轢く寸前までいった電車の運転士、イリヤでした。

命を救われたばかりか、引き取って育ててくれたイリヤ。
代々鉄道運転士の家系で、祖父の代から66人"殺した"記録があります。
…そうです。鉄道運転士の宿命ともいえる

「罪なき殺人」

ともすれば重くなりそうなテーマを、この作品ではユーモアが助けてくれます。
運転士には避けることが出来ない事故をユーモラスに語ることで、自らの精神のバランスをとっているのかと。

一度はイリヤの反対にあい、運転士ではなく発車係の職につくものの。
諦めきれず、念願の運転士になってみれば今度は。
いつ人を轢くか、人殺しになるかと不安に苛まれるのです。
シーマを苦しみから救うため、イリヤの下した決断とは…


のどかな風景のなか、風をきって電車を走らせる…
先頭車両の運転席は、小さな子どもたちの憧れ。それなのに。
運転士の苦悩。人はそんなことに考えが及ばないのです。


題名の"花束"は、意図せずながら殺してしまった被害者の墓前に供えるもの。
その無垢な白さが、とても眩しく感じました。


仕事、つながりで。
やりたいことをやれているか、は別として。

とうとう、職場での私のあだ名が「菩薩」になりました…
hibiya1975

hibiya1975の感想・評価

4.0
ちょっとブラック、でもじんわり。

イリアのダニツァとの幻想的なシーン、ベルイマンの「野いちご」のイサックとサラを思い出した。あの感じ、年をとると切実です。
ダニツァ役の女優さんの美しさにただただ落涙。

10才のシーマもイリアの「思い出補正」が目一杯かかっていた感じ。あんな美少年がたった数年であんなに…ねえ~。

わが国の鉄道事情とは天と地との開きを感じる設定で、開いた口が塞がらない感も多々ありますがそれはそれ。

脇の俳優さんたちもいい味。
櫻

櫻の感想・評価

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はじめて産声をあげてから、どこへ向かっていこうか。鉄道線路のようにあらかじめ決められた道はなく、わたしたちは道なき道を進んでいく。後戻りできないその足は、一向に晴れることのない霧の中では時々無理やりにでも止まろうとし、行き先の決められた電車の線路に引き寄せられながら、一瞬にして身を砕く衝撃を欲してしまう。それでなくてもこの足は、どれだけ明るい陽の下のあったとしても急に終息させられてしまうくらい死ぬことと隣り合わせなのだと、あたたかな暖色の光とやわらかな風とともにこの物語は語っていたのだと思う。行く先がわからなくても、わからないまま進んだ先に何があるのか、誰に出会うのか。あの場所で出会って少しの時を一緒に過ごした君は、先に旅立っていった。何度君のところに行こうとしたか指折り数えてももう覚えていないけれど、また新しい誰かに出会いながら、どこかで再会できることを信じている。

毎日たくさんの人生を運ぶ運転士は、哀しみの花束をたむけながら、今日も死の隣を進んでいく。
脱力系クストリッツァ。

サーカスみたいなのを求めて行ったら、寂しい見世物小屋がポツンと一軒立ってるだけだった。

昨日に引き続き、不完全燃焼でござい。。🛤
いつか行ってみたい国に、セルビアが急に入り込んだと同時に、一気に上位に駆け上がりました。

名前から、少し危険な地帯のイメージがまとわりついていましたが、今はそんなことも無さそうです。


主人公イリヤの隣人や、イヤゴダが住む部屋が素敵で、トレーラーハウスにしては広いなぁと思っていましたが、役目を終えた電車だったんですね!
老後、子供たちが全部出払ったら、あんな家に住んでみたくなりました。

ほのぼのブラックコメディと言えばそうなんですが、何かとても不思議な映画。アキ・カウリスマキとも少し違うし。

小さなブラックの中にも、優しい愛が溢れていました。
たくみ

たくみの感想・評価

4.0
なんて不謹慎で背徳的な作品だろう!(褒めてます)

こんなに不謹慎なのに不快感を感じさせないのが凄いですね。

テイストは完全にエミール・クストリッツァですが、不思議とパクリだとは思いませんでした。リスペクトは感じますが…

なんとも形容し難い作品ですが、これを嫌いじゃない自分は、はたして一般的な感覚で「大丈夫なの?」って思わされます(^_^;)
初クロアチア映画

何とも振り切った映画です。
ユーモアが少し粋すぎている気もするが不思議と笑えてくる。

鉄道運転士が鉄道事故の死者を「殺した」という表現をする。
誰もが通る道でもあるけど、それを前提に運転士になるなんてどうかしてる。でも、それをわかって皆さん仕事してる。
それにしても、話の展開がヤバすぎるでしょ笑

重たい話でもあれば、軽快なポップな作品でもある。
何て言ったらいいかわからない。
こんな映画観たことないわ笑
せっ

せっの感想・評価

4.0

優しいブラックコメディ。
定年間近の鉄道運転士がたまたま男の子を拾ってその子も鉄道運転士になる話。
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でも鉄道運転士は事故で結構人を殺しちゃうから、主人公も息子もそれのせいで結構ストレスに押しつぶされそうに。
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こういう倫理的に難しそうなのも笑いに変えるのがセルビアの文化らしく、辛い時こそ笑っておこう精神がこの映画にもチラホラ。
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確かにね、笑っとけば何とかなるんだけどね、いつもヘラヘラしてるって勘違いされたりもするんだけどね。
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おじいさんと息子の関係も良かったし、最後もいい意味で期待を裏切ってくれて結構面白かった。
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ebifly

ebiflyの感想・評価

3.8
なかなか良かった。運転士の苦悩は、これを見るまで関心もなかったし、そういう世界もあるよな、って妙な納得。
不器用なじいさんと、その周りの温かな人たち。綺麗事では済まされないけど、こういう温もりもあっていいよなぁ。
鉄道をテーマにした映画は数あれど、本作はセルビアの鉄道運転士という珍しいテーマの作品で面白かったです。

監督がこの映画のジャンルはブラックコメディです。と言ってるようにブラックユーモアが随所に盛り込まれてますので、所々クスクス笑えます。
オチの所は館内みんな声をあげて笑っていたかな🙆


ダニッア役のニーナ・ヤンコヴィッチさん、めちゃくちゃ可愛くて、セルビアの最も美しい女性のひとりに挙げられる方だそう🥰

普段あまり映画を観ない人には両手を上げて勧めにくい?けど、観た方とはなんか色々語りたくなるようなそんなクセになる作品でした。
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