りょう

さすらいのりょうのレビュー・感想・評価

さすらい(1975年製作の映画)
4.1
ヴィム・ヴェンダースのロードムービー3部作の3作目!2作目の「まわり道」でかなり理解不能状態に陥ったのですが、この「さすらい」はひねくれた人が出てこないから素直に良かったです。

自分を構成する過去と向き合い、自分を変化させていくこと。そういう前向きなメッセージを受け取れた気がします。

本作の主人公も前作までと同じリュディガー・フォグラー。演じるのはブルーノという映写技師。色んな映画館を自前のバスに機材と寝床を作って生活してる。

もう1人の登場人物であるハンス・ジシュラー演じるロベルトという言語学と小児科の間のような分野を研究している人。奥さんと別れて自暴自棄になり、車でものすごいスピードで湖に突っ込む(ブルーノにあだ名としてカミカゼと呼ばれちゃう)。

びしょびしょになったロベルトはたまたま近くにいたブルーノと出会い、服を貸してもらい、そこから一緒にバスで移動して生活するようになる。

キャンピングカー的なこのバス、めっちゃ憧れますね。コロナを機にキャンピングカーがさらに流行った感ありますが、ブルーノのバスはまじで憧れる。ポータブルレコード再生機的な機械から流れる音楽も良かったですね。都会のアリスやまわり道は不穏な音楽だったけど、この作品で流れる音楽はまさにPerfect Daysの平山のカセットテープのように味のある音楽が流れてた。

途中小学校のようなところで映画を流すはずが機材トラブルであたふたしているところに、たまたまロベルトが照明をつけちゃって、生徒から見ると影絵劇みたいなって、ブルーノとロベルトがふざけ始めるところ、めっちゃ多幸感ありました。その後2人はケンカしてたけど。

最後の方の小屋みたいなところで、ロベルトが話したことが印象的だった。子供は読み書きを覚えると想像力が衰えていくみたいな話。確かに読み書きする前までは自分の頭であれやこれや想像するしかないけど、読み書きができれば、自分の想像力が及ばない範疇のことに触れることができるし、そうやって変化(成長)をすることで人は自分の人生を歩んでいけるんだと思った。

序盤からブルーノの下半身モザイク(服着てない、とか、用を足すとか)でびっくり。それと上裸にオーバーオールという、通常であればかなり変態なスタイルなんですが、だんだん見慣れてくるから不思議。

最後の終わり方もおしゃれでした。ENDの出し方。

3部作見終わったので、次は「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」!!✨
りょう

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