Koutaro

リスペクトのKoutaroのレビュー・感想・評価

リスペクト(2021年製作の映画)
4.0
一にも二にも、ジェニファー・ハドソンの演技と歌声に圧倒される。
これだけでも一見の価値はあった。
これまであまり興味もなく、実際にどのような音楽のことを指しているのかよくわからなかったソウルミュージックというものが、一目でこれと体験できる。
まさに、ソウルの名にふさわしい音楽だと言えた。

内容としてはそれなりによくできた伝記映画。
アレサ・フランクリンのデビューからヒットまでの半生が描かれている。
よくできた作品ではあるものの、出発点と着地点が明確に定まっていたような印象で、その間の物語の進行はやや駆け足気味で忙しない。
相関図が目まぐるしく変化していくのでキャラクターにじっくり感情移入しながら共感していくことは難しい。
ただ、それをジェニファー・ハドソンの歌声が完璧に補っている。
それだけに、日本語字幕の訳出のセンスには不満を感じざるを得ない。
セリフ部分はまだしも、歌詞の翻訳はもう少しどうにかならなかったものか。
特にあのアメイジンググレイスは、アレサ・フランクリンのそれまでの人生を全て込めたような壮絶な歌声に、教科書にでも載せるかのような四角四面の訳語が全くフィットしていない。
あれをわざわざ画面に映す意味はあったのだろうか。
もともと世界的に有名な讃美歌であり、伝えるべき内容は全てあの歌声と演技に乗っている。
正直目障りにしかならなかった点はローカライズとして失敗だったように感じる。
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